tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

2009-01-01から1年間の記事一覧

論評・羅府新報「磁針」コラム・氏姓考【091119掲載原稿】

題名・氏姓考 * * * * * 人それぞれだろうが、自分の姓から先祖のルーツを考えることに興味を持つ人は少なくないだろう。本紙でも日系アメリカ人読者が主な対象と思われるが、あなたのルーツを探す、というキャンペーンを見たことがある。この場合日本…

論評・羅府新報「磁針」コラム・負けてよかった【091014掲載原稿】

題名・負けてよかった * * * * * 二〇一六年のオリンピック開催地がブラジルのリオデジャネイロに決まった。最後の4候補地に残った東京はこの年のオリンピック招致合戦に敗れたわけだが、日本の置かれている状況を直視すれば、敗れてよかった。 下馬評…

論評・羅府新報「磁針」コラム・政党のマニフェスト【090917掲載原稿

題名・政党のマニフェスト * * * * * 今回の衆院選挙に際して各党は政策の「マニフェスト」を発表した。結果はご存知のとおり民主党の大勝で、官僚とつるんで国民の財産をないがしろにし、党内の議論ばかりに終始して適時に最善の政策を展開してこなか…

論評・羅府新報「磁針」コラム・国会議員の公開所得【090820掲載原稿

題名・国会議員の公開所得 * * * * * 首相の決断により衆議院が解散され、八月三〇日に選挙が行われることになった。ちょうどタイミングよく、この決定に先立って、日本の「国会議員の公開所得」なる記事が新聞に掲載された。ここでは朝日新聞国際版七…

論評・羅府新報「磁針」コラム・百年目のGM【090723掲載原稿】

題名・百年目のGM * * * * * ゼネラル・モーターズ社(以下GM)が日本の民事再生法に当る連邦破産法第11条の適用を申請し、経営が破綻した。その後米政府の肝煎りで、短時日で新生GMとして市場に復帰してきた。GMはシボレーやキャデラックを作る自動車…

論評・羅府新報「磁針」コラム・「おミソ」【190715掲載原稿】

題名・「おミソ」 * * * * * 私ごとで恐縮だが、いま川柳に凝っている。先日の句会での席題が「癖」と聞いて、練習のためにさっそく自分でも作ってみた。たちどころに三句ほど頭に浮かんだが、この題を聞いたとたんに思い出した、自分が就学前のころ近…

論評・羅府新報「磁針」コラム・日本製腕時計その後【090528掲載原稿

題名・日本製腕時計その後 * * * * * 一九九八年九月二六日付本欄に筆者の「発電所付き腕時計」が掲載された。記事の腕時計は一九九四年ごろ購入した日本製のもので、その後足かけ15年以上にわたってずっと正確な時を刻んでいたが、今年に入ってその活…

論評・羅府新報「磁針」コラム・半世紀ぶりの麻雀【090429】掲載原稿

題名・半世紀ぶりの麻雀 * * * * * 最善のボケ防止策として毎週一回麻雀大会を開いているウィドウズ・クラブが当地にある。参加者は当然お年を召した方々である。かつて麻雀は「亡国病」などと言われ、国策として禁止した国もあったと聞くが、平和と長…

論評・羅府新報「磁針」コラム・カーガイが去る【090402掲載原稿】

題名・カー・ガイが去る * * * * * 20世紀はある意味で自動車の世紀であった。この一〇〇年間で、自動車は今見られるようにいつでもどこでも、A点からB点まで人や貨物を乗せて移動できるようになった。もちろん道路やガソリン・スタンドなどのインフラ…

論評・羅府新報「磁針」コラム・日本人の漢字力【090305掲載原稿】

題名・日本人の漢字力 * * * * * 最近の麻生首相のお粗末な日本語能力は恰好のニュース種だったが、それを囃しているマスコミを含め日本人の日本語は大丈夫なのだろうか。じつは戦後マッカーサーのGHQ(占領軍総司令部)が押し進めた数多くの愚民政策の…

論評・羅府新報「磁針」コラム・アラセブって?【090205掲載原稿】

題名・「アラセブ」って? * * * * * ご同輩。「古稀」前後数年の年齢層で、いきいきと充実した毎日を送っておられるであろうところのご同輩。そのあなたもわたしもが「アラセブ」なんだそうだ。アラセブってなんだ? 昨年十二月二四日付の朝日新聞・国…

書評・川柳200年

書評・★川柳200年(川上三太郎著)読売新聞社【あらすじ】 この本は昭和41年(1966)に初版第1刷が発行され、当書評の底本は同年の第2刷である。著者の川上三太郎(明治24〜昭和43・1891〜1968)は大正・昭和期の川柳作家として有名であるが、同時に川柳研…

随筆・駐在員今は昔(その十四)【EWJ081001掲載原稿】

駐在員今は昔(その十四) 筆者はながながとこの「駐在員今は昔」シリーズを書き継いできた。この物語を、今回は「昔の日本人は、お互いに助け合うことで生活が成り立っていたのだ」ということに関して、いささか特殊な事例ではあるがそれを紹介してこのシリ…

随筆・駐在員今は昔(その十三)【EWJ080901掲載原稿】

駐在員今は昔(その十三) 戦後日本からアメリカに来た人たちといえば、留学生でなければ業務が目的であった。そのころの留学生は、いまは雨後の筍のようにどこにでもある語学学校などの話ではない。日米両国政府がみとめた、ひとにぎりのエリートのためのた…

随筆・駐在員今は昔(その十二)【EWJ080801掲載原稿】

駐在員今は昔(その十二) 所変われば品変わる。日本では店に行けばいくらでも売っているものが、アメリカでは必ずしもそうでない。その反対の事例もある。明治維新以来、日本では文化・文明面で欧米の先進国に追い付き追い越すことが最大の課題であった。そ…

随筆・駐在員今は昔(その十一)【EWJ080701掲載原稿】

駐在員今は昔(その十一) L氏は会社でアメリカ市場担当を仰せつかって、これからアメリカ人を相手に商売をしなくてはならないことになったとき、アメリカは個人主義の国だ、ということを肝に銘じておかなければならないと思った。日本は聖徳太子以来の「和…

随筆・駐在員今は昔(その十)【EWJ080601掲載原稿】

駐在員今は昔(その十) 一九六〇年代の半ばごろ、アメリカに駐在員として赴任したK氏が驚いたことのひとつに事務所のエアコンがあった。 当時K氏は、自分の勤める日本の会社が提携先として選んだニュー・イングランドにあったアメリカの会社の事務所の一室…

随筆・駐在員今は昔(その九)【EWJ080301掲載原稿】

駐在員今は昔(その九) いまどきは、日本とアメリカに技術上の格差はない、と思っている人が多いのかも知れない。軍事技術を除いては、あるいはそうなのかも知れない。でもある意味では「わずか」62年前、全国が焼け野原になって、なにもなくなって敗戦に打…

随筆・駐在員今は昔(その八)【EWJ080201掲載原稿】

駐在員今は昔(その八) この「アメリカこぼれ話」の最初のほうで、「受付嬢」に言及したと思うが、違う視点からもういちど書く。 * * * 昔は会社というか事務所というか、企業の玄関口にはかならず受付嬢がいて、外部からの訪問客の案内を務めていたもの…

随筆・駐在員今は昔(その七)【EWJ080101掲載原稿】

駐在員今は昔(その七) 戦後22年経った昭和42年(一九六七)に初めてアメリカにきて、日本企業の橋頭堡を築くべく活動を始めた30代半ばの男があった。ここでは仮に「J氏」としておく。この頃は日本の目先の効く企業、海外に人を出すゆとりのある企業は、す…

随筆・駐在員今は昔(その六)【EWJ071201掲載原稿】

駐在員今は昔(その六) いまでは日本とアメリカが過去に戦争をしたことを知らない世代が育っているそうだ。「それでどっちが勝ったの?」と訊かれても、戦後の焼け野原を知っている世代には、返事のしようもない。昭和二十年(一九四五)三月十日の東京大空…

随筆・駐在員今は昔(その五)【EWJ071101掲載原稿】

駐在員今は昔(その五) 当方の常識は必ずしも先方の常識ではない、ということくらいは理解しているつもりであった。ところが実際に下記のような見聞を自分で経験してみると、やはりアメリカの社会と日本の社会を比較して、どうしても違和感が残ってしまうの…

随筆・駐在員今は昔(その四)【EWJ071001掲載原稿】

駐在員今は昔(その四) アメリカ人は会話のときに、男女ともに大口を開いてはっきり発音する。日本人は口のなかでモゴモゴいう。だから日本人が発音する「はっきりしない」英語は、アメリカ人にとってはよほど聞きとりづらいものであるらしい。でも日本では…

随筆・駐在員今は昔(その三)【EWJ070901掲載原稿】

駐在員今は昔(その三) 日本でもアメリカでも、売掛金の回収には苦労がともなう。悪質な客は、いろいろな理由をつけて支払いを延ばそうとする。悪質でなくても、支払いは先であればあるほど客に有利だ。でも相手の言い分をすんなり受けていては、自分の会社…

随筆・駐在員今は昔(その二)【EWJ070801掲載原稿】

駐在員今は昔(その二) 昭和39年(一九六四)に東京オリンピック、昭和45年(一九七〇)に大阪万博が開催され、この頃になって日本もようやく敗戦国から世界の国々の仲間入りを果たしたという実感が、これらのイベントによって、全国津々浦々に行き渡ること…

随筆・駐在員今は昔(その一)【EWJ070701掲載原稿】

駐在員今は昔(その一) 戦後の混乱期から経済成長期に入って、日本企業はアメリカにも駐在員として人を送り込むようになった。アメリカではまだまだ日本人が珍しがられたころの話で、筆者自身も一九六〇年代の終りごろだったか、アメリカの深南部をドライブ…

書評・拒否できない日本

書評・★拒否できない日本(関岡英之著)文春新書【あらすじ】 著者の関岡英之氏は一九六一年東京生れ。慶応大学法学部卒業後東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。十四年間の勤務後退職して早稲田大学理工学研究科に入学し、同修士課程を修了、そのあと著…

論評・羅府新報「磁針」コラム・川柳ざんまい【090108付掲載原稿】

* * * * * 日本では勝ち組と負け組に分かれていままで厚かった中流階級が極端に痩せ細り、ますます住み難いことになってきた。アメリカもテロ問題に最近のサブプライム問題が加わって、これまた住み難い国になってきた。二〇〇九年はどんな年になるだろ…

論評・磁針コラム・新「大政翼賛」政治

論評・磁針コラム・新「大政翼賛」政治【羅府新報・181204付磁針コラム掲載原稿】 * * * * * 政治が人の頭の中に介入しはじめると、ロクなことがない。権力を握る者は猜疑心をどんどんふくらませて、細かなことをあげつらってくる(池波正太郎・鬼平犯…

論評・磁針コラム・使い勝手のいい商品

論評・磁針コラム・使い勝手のいい商品【羅府新報・081106付磁針コラム掲載原稿】 * * * * * 今年の6月にホンダの2輪車「スーパーカブ」が発売後50年を迎えた。この間の生産台数は累計6千万台。初代から設計をほとんど変えず、半世紀でここまできた…