tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

2006-01-01から1年間の記事一覧

書評・セーラが町にやってきた

書評・★セーラが町にやってきた(清野由美著)プレジデント社【あらすじ】 一九九八年の長野冬季オリンピックが開催された頃の話である。アメリカ・ペンシルバニア州出身の若いアメリカ人女性、セーラ・マリ・カミングスが、典型的かつ保守的な日本の地方都…

書評・本当の学力をつける本

書評・★本当の学力をつける本(陰山英男著)文芸春秋【あらすじ】 兵庫県山あいの公立小学校の教諭である著者が、昔ながらの「読み書き計算」の反復練習を行うことによって小学生の学力・成績を驚異的に引き上げるだけではなく、子どもを伸ばすことを中心に…

書評・GMとともに

書評・★GMとともに(アルフレッド・スローンJr.著、田中融二・狩野貞子・石川博友共訳)ダイヤモンド社【あらすじ】 かっては(というべきだろう)世界最大で、世界最高の大企業であった、アメリカのゼネラル・モーターズ社(以下GM)の発展のあとをたどろう…

書評・オーパ!

書評・★オーパ!(開高健著)集英社文庫【あらすじ】 芥川賞作家であり、サントリーのコピーライターであり、ベトナム戦争報道ノンフィクション作家であり、さらには釣師でもあった開高健が、世界最大で唯一の土堤なく、橋なくダムもないアマゾン河にでかけ…

書評・にごりえ・たけくらべ

書評・★にごりえ・たけくらべ(樋口一葉著)岩波文庫【あらすじ】 「にごりえ」と「たけくらべ」は、夭折した樋口一葉の晩年の代表作で、彼女のもっとも知られた作品ということができる。「にごりえ」で一葉は、色里の銘酒屋の女・お力が愛人・結城という者…

書評・常紋トンネル

書評・★常紋トンネル(小池喜孝著)朝日新聞社【あらすじ】 この本の副題には「北辺に斃れたタコ労働者の碑」とある。極寒の地・北海道開発に狩り出され、タコ部屋と呼ばれる鍵のかかった飯場に収容され、ときには鎖に繋がれて、北海道の鉄道や道路などのイ…

書評・コメ自由化はおやめなさい

書評・★コメ自由化はおやめなさい(鯨岡辰馬著)文芸春秋社【あらすじ】 副題は「カリフォルニア日系農民からの忠告」。著者は「国寶ローズ」米生産で有名な国府田農場で永年総支配人を勤め1989年に引退。この本は引退直後の1990年に出版された。日本がコメ…

書評・半七捕物帳(全六冊)

書評・★半七捕物帳・全六冊(岡本綺堂)光文社時代小説文庫【あらすじ】 江戸時代の岡っ引「半七」に、子分の「圧太」や「善八」を配した、読み切り形式の短編全六八篇の推理小説。これを書生風の「わたし」が、明治も半ばを過ぎてから、引退した半七老人の…

書評・黄河の水

書評・★黄河の水(鳥山喜一著)角川文庫【あらすじ】 副題に「中国小史」と銘打ったこの本は、漢民族のルーツともいえる黄河をシンボルにして、中国四千年の歴史をわかりやすく書いた本である。著者はとくに「少年子女」向けの歴史の概述書を意図して、大正…

書評・血液型人間学

書評・★血液型人間学(能見正比古著)サンケイ新聞社出版局【あらすじ】 人間には性格や気質があり、その相関関係をひもとくキーとして、つまり物差しとして、著者は血液型に目をつけ、膨大な資料(本書によるとのべ15万人からのアンケート)を収集して解析…

書評・看板

書評・★看板(池波正太郎著)新潮文庫「谷中・首ふり坂」所載【あらすじ】 時代劇で鳴る著者が描く江戸時代の盗賊・夜兎の角右衛門は、片腕の女乞食・おこうが大金の入った財布を拾い、正直に落し主に返す現場を偶然目撃する。感激した角右衛門は、おこうが…

書評・アメリカのやり方

書評・★アメリカのやり方(チヒロ・ファイバー著)東洋出版【あらすじ】 カナダ人男性と結婚した日本人女性が、2001年9月11日のいわゆる「9・11」の9個月前からアメリカ・カリフォルニア州に移り住み、事件後に起こるアメリカ社会の変化を感じ取り、その主…

書評・新しい憲法のはなし

書評・★あたらしい憲法のはなし(編集・童話屋編集部)童話屋【あらすじ】 「あたらしい憲法のはなし」は、一九四七年(昭和二二年)八月二日文部省が発行した中学校一年生用の社会科の教科書である。一九五二年三月(昭和二六年度版)まで使われていたが、…

書評・サザエさんうちあけ話

書評・★サザエさんうちあけ話(長谷川町子著)姉妹社刊【あらすじ】 「サザエさん」でおなじみの長谷川町子(1920・大正9年〜92・平成4年)が、自分の生涯を自分でマンガに仕立て上げた本。生い立ちから高齢の親を看取る話のところまでの長谷川町子の一生の…

書評・教育勅語(読み下し文他)

書評・★教育勅語(読み下し文と現代語訳) 先日の「教育勅語(原文)」掲載に際しましては、たくさんの方の検索・閲覧をいただきまして、まことに有難うございました。なかでも熱心な方がいらして、アドバイスをいただいたりご指摘をいただいたり、とても勉…

書評・昭和史(戦後篇)

書評・★昭和史・戦後篇・1945〜1989(半藤一利著)平凡社【あらすじ】 前著「1926〜1945」篇に続く著者の昭和史「戦後篇・1945〜1989」がこれだ。2006年(平成18年)の現在、まさしく昭和は遠くなった。いま日本国民を構成する多くの人たちにとっては、昭和…

書評・教育勅語(原文)

書評・★教育勅語(原文) ちょうど「昭和史」に差し掛かったところで、ひとつ戦前の教育の根幹をなしていた「教育勅語」を取り上げてみたいと思います。 教育勅語は、明治23年(1890)10月30日に発布されたものです。 戦時中は、中学生以上くらいは全文暗誦…

書評・昭和史(1926〜1945)

書評・★昭和史・1926〜1945(半藤一利著)平凡社【あらすじ】 著者は1930年(昭和5年)東京・向島の生まれ。文芸春秋社に入り「週刊文春」「文芸春秋」の編集長を経て作家生活に入った。出版関係者が「学校で習わない昭和史の授業をしてほしい」という求め…

書評・関東大震災

書評・★関東大震災(吉村昭著)文春文庫【あらすじ】 大正12年(1923)9月1日関東地方を襲ったマグニチュード7.9の大地震(関東大震災として知られる)のノンフィクション。先日亡くなった著者の吉村昭は、本書が書かれた昭和47年(1972)当時(初出は…

書評・QCからの発想

書評・★QCからの発想(唐津一著)PHP文庫【あらすじ】 この本には「仕事の質と効率をいかにあげるか」という副題がつく。そのためにQCとはなにか、どう使いこなすか、そのノウハウのかずかずを戦後日本の製造業の発展につれてどのように進歩してきたかの歴史…

書評・熟年性革命報告

書評・★熟年性革命報告(小林照幸著)文春新書【あらすじ】 一九六八年生まれの若い著者が、「毒蛇」で奄美、沖縄、台湾などで毒蛇咬症を、「死の貝」で日本では根絶した日本住血吸虫症を罹患する危険を冒してまで東南アジア諸国を中心に取材・検証したが、…

書評・社長の椅子が泣いている

書評・★社長の椅子が泣いている(加藤仁著)講談社【あらすじ】 この本の主人公・河島博は46歳のとき、生え抜き社員として日本楽器製造(ヤマハ)の最高の地位である社長に登り詰め、その後当時のヤマハの実力会長だった川上源一に突如解任される。ヤマハを…

書評・パソコンのパの字から

書評・★パソコンのパの字から・ウィンドウズ98対応版(サトウサンペイ著)朝日新聞社刊【あらすじ】 若者もすなるパソコンなるものを、私も挑戦してみようかと、一念発起した高齢者や、機械オンチユーザーなどのパソコン弱者を救済するために書かれた入門…

書評・おばあちゃんのユタ日報

書評・★おばあちゃんのユタ日報(上坂冬子著)文春文庫【あらすじ】 大正三年(一九一四)にユタ州ソルトレーク・シティで創刊された日刊邦字紙「ユタ日報」のその後の推移を、昭和五九年(一九八四)に昭和史・戦後史に強い興味をもつノンフィクション作家…

書評・史上最高の投手はだれか

書評・★史上最高の投手はだれか(佐山和夫著)潮出版社刊【あらすじ】 いまはない黒人リーグの花形投手で、公式記録によれば一九〇六年アラバマ州モービル生まれ、四二歳にして初めて大リーグのインディアンスに入り(一九四八)、大リーグ最後の登板は一九…

書評・間違いだらけのクルマ選び

書評・★間違いだらけのクルマ選び・02年上期版(徳大寺有恒著)草思社刊【あらすじ】 原則として日本で発売される国産車・外国車のすべてを車種ごとに「歯に衣着せず」徹底批評するのが売りものの、半期ごとに出版される本がこれ。以前は毎年版だったが、二…

書評・檀流クッキング

書評・★檀流クッキング(檀一雄著)中公文庫【あらすじ】 「火宅の人」「リツ子、その愛」「長恨歌」などで知られる作家の檀一雄は、食に関しても非常な好奇心と実行力を発揮したことで知られる。この本は、その檀一雄が昭和四四年(一九六九)からサンケイ…

書評・謝らないアメリカ人 すぐ謝る日本人

書評・★謝らないアメリカ人 すぐ謝る日本人(高木哲也著)草思社刊【あらすじ】 日本とアメリカの違いに関して、アメリカ在住のビジネスマンが、具体的な観察とデータを駆使して縦横に語った書。著者の豊富なアメリカにおける生活とビジネスの経験は、日米間…

書評・東京アンダーワールド

書評・★東京アンダーワールド(R・ホワイティング著、松井みどり訳)角川書店刊【あらすじ】 昭和二十年(一九四五)の敗戦により焼け野原となった東京を舞台に、当時の進駐軍からスピンアウトしたニューヨーク生まれのイタリア系アメリカ人、元米海軍軍曹・…

書評・交渉術

書評・★交渉術(ラリー・クランプ著・棚橋志行訳)文芸春秋社刊【あらすじ】 副題に「任天堂、大リーグを買う」とあり、この本はその副題のとおり、ジャパン・バッシング環境下の一九九二年に、任天堂がかずかずの困難を排して、大リーグのシアトル・マリナ…