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論評・羅府新報「磁針」コラム・国会議員の公開所得【090820掲載原稿

tokyokid2009-10-02

題名・国会議員の公開所得
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 首相の決断により衆議院が解散され、八月三〇日に選挙が行われることになった。ちょうどタイミングよく、この決定に先立って、日本の「国会議員の公開所得」なる記事が新聞に掲載された。ここでは朝日新聞国際版七月一日付に掲載された記事をもとに話を進める。記事といっても、実体は「衆院選挙区」「衆院比例区」「参院選挙区」「参院比例区」に分けて、実名による昨年一年間を通じて議員だった人の所得一覧表である。
 表は「給与」「不動産・利子等」「所得総額」「昨年比」の四項目から成っている。「給与」欄を見ていくと高額所得側では八八〇〇万円、「所得総額」では八億四千万円を超える人がそれぞれ一人居た。一方「給与」所得の最低ラインは一九一四万円という人が多数居て、その意味を考えさせられた。素人考えで推測するに、この一九一四万円という数字は、たぶん国会議員の報酬として与えられる金額なのであろう。それでなくては、一九一四万円未満の人が一人も居ない現象を説明できない。
 厚生労働省の発表によると、平成18年度(二〇〇六)の日本の世帯平均所得は五六三万円であったとのことだ。これは「世帯平均」であって、上述の国会議員の場合は「個人」であるから基準が違うことになるが、単純に金額で比較すると国会議員の報酬は国民平均の三倍以上になる。国会議員はわれわれが払った税金から「高給」を取っているのである。
 にもかかわらず、日本で政治家の汚職の報道はあとを絶たない。彼らはこうして国民世帯平均の三倍以上の給与を得ていながら、そしてバレれば自分の政治生命を危険に陥れることを承知の上で、なんであんなに多くの政治家がスジの通らないカネを入手しようとするのだろうか。政治家は選挙民の面倒を見なくては投票してもらえないから、冠婚葬祭に空手で顔を出すわけにはいかない日本ではカネがかかる、と聞いたことがある。もしそうだとしたら、これは国民のレベルが政治家のレベルを引き下げていることになるが、このところの報道にお目にかかったことはない。日本のマスコミは事情を明らかにする責任があろう。□
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