tokyokidの書評・論評・日記

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論評・磁針コラム・使い勝手のいい商品

tokyokid2009-01-05

論評・磁針コラム・使い勝手のいい商品【羅府新報・081106付磁針コラム掲載原稿】
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 今年の6月にホンダの2輪車「スーパーカブ」が発売後50年を迎えた。この間の生産台数は累計6千万台。初代から設計をほとんど変えず、半世紀でここまできた。技術的に日進月歩の機械モノにとって、基本的に同じ商品をこれだけの長い間生産・販売するということは、いかにその製品が優れているかの証明そのものである。
 当地アメリカでも「アコード」「シビック」などを抱えるホンダは4輪車メーカーとして認識され勝ちであるが、もともと同社は2輪車メーカーから出発した。創業者の本田宗一郎は、スーパーカブの設計・開発に当って「蕎麦屋の出前持ちが片手で運転できる」バイクを目指したという。その「使い勝手の良さ」が、スーパーカブを半世紀以上にわたって息長く世界中で愛される商品に仕立て上げた原動力であった。商品は「良い」「安い」だけでは消費者に倦きられる。その後半世紀経って、世界中にまだスーパーカブを超えるバイクが出現していないことを見ても、そのことが実感される。
 スーパーカブに較べれば、その後大衆の生活になくてはならないものとして登場してきたパソコンなどは、使い勝手の悪さが際立つ。機構・操作は複雑だわ、寿命は短いわ、故障はするわ、簡単に修理ができないわ、と素人には問題だらけである。いまどき還暦過ぎのわれわれ老骨でも、メールや検索や作表など、パソコンを使わざるを得ない状況に追い込まれている。それにしては、ハード・ソフトの両面からみて、この「使い勝手」というものは全然改善されていない。毎週のように新型が発売されて、新しい機能が満載されてでてくる割には「使い勝手のいいパソコン」はまだ市場に姿を見せていない。
 いまのままではパソコンは欠陥商品と言われても反論できないだろう。われわれ老骨としては、丈夫で長持ち、安価で操作も修理も簡単で使い勝手のいいパソコンが欲しい。だれかホンダを見習って、パソコンのスーパーカブを早く市場に送ってくれないか。□
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