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論評・羅府新報「磁針」コラム・政党のマニフェスト【090917掲載原稿

tokyokid2009-10-22

題名・政党のマニフェスト
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 今回の衆院選挙に際して各党は政策の「マニフェスト」を発表した。結果はご存知のとおり民主党の大勝で、官僚とつるんで国民の財産をないがしろにし、党内の議論ばかりに終始して適時に最善の政策を展開してこなかった、と国民に判断されたのかどうか、一九四五年の敗戦以来ほとんどの期間日本の政治を担ってきた自民党は、地すべり的大敗に終った。
 今回の選挙の特徴のひとつは各政党が選挙前に発表した「マニフェスト」で、これは新聞各紙にも「政権公約」として特集された。記事は「財政」「景気対策」「外交・安保」「農業」「地方分権」「子育て・教育」「年金」「医療」「雇用」「環境」などの項目別に整理されている。もちろん選挙後に各党がどこまで本気でそのマニフェストに記されたことを実現するために行動するのか、そこが国民にとって最大の関心事である。ここでは各党のマニフェストの内容に立ち入ることはしないが、戦後の選挙を振り返ると、政党が政権担当期の「目指す政策」を国民に分り易いこのような「マニフェスト」として提示し、明文化して議論の対象になるようになってきたのは比較的最近のことと記憶する。格言でも「遅きは無きに勝る」という。日本の政治も一段と成熟度を増したのかも知れない。
 ひとつ不思議なのは、マニフェストには政権を担当したら「あれもやります、これもやります」という個別政策の目標ばかり並べて、将来を見据えた国の形をどのように持って行くのかを記載していないことだ。日本は戦後マッカーサーの占領以来半世紀以上も経って、その後遺症を払拭する手をまだなにも打っていない。目標を設定しなければ、戦術だけ論議して戦略や哲学を置き去りにするに等しい。全員の満足を考えると、一部の反対を押し切ってまで国の将来の絵を描いてみせる力のある政治家がいないのかも知れない。国民の一員としては、選挙が終ってまだまだこれからも目を光らせなくてはならない。□
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