tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

日記120705・ブランド狂い

tokyokid2012-07-05

日記110101・ブランド狂い

◆Sさんという知人から「そのひとの人生を考えさせる」楽しいメールがきた。以下のようなものであった。
笑った笑った、大笑い!人生案内に出ていた記事です。お読みください、楽しいお話ですよ!(以下読売新聞「人生案内」欄から引用)
★「料亭の味」ばかり喜ぶ父
20代の女子大学生。どうしても父が許せないのです。父は食べることが好きですが、私や母の料理には、いつも「まあまあ」とコメントするだけ。恥ずかしがり屋の父が、素直に感謝の言葉を口にできないのはわかっています。
 でも、名店や料亭のお弁当を出すと、父は目が輝き、コメントも「おいしい」に変わります。確かに、私や母の料理は料亭にはかないませんが、父も全然、味がわかっていないのです。パック入りの特売のすしを「築地の有名店だよ」と出すと、父は「鮮度が違う」と言い、名店のお弁当を皿に盛って「スーパーの総菜なの」と言えば「まあ、こんなもんだ」と返すのですから。
 ブランド名がないと「おいしい」と言えないのに、「俺は通だ」「違いのわかる男だ」などといった態度を取る父が許せません。これでは、無名の私の料理は「まあまあ」から昇格できません。どうしたらいいでしょうか。(東京・C子)
 ・・・・・・・・「父が許せない」という出だしで始まる相談文なので緊張しましたが、読んでいくうちに口元が緩みました。ごめんなさい。「味がわからない」お父さんは、つまり、有名店の「看板」をいただいているのですね。
 でもそれが味に加わっているのですから幸せな人なのかもしれませんよ。そんなお父さんに腹を立てながらもお母さんと台所に立つあなたは偉いです。きっと仲の良いご家族なのでしょうね。
★(以下は回答)
 お父さんは、あなたの洋服やお友達に対してもブランドを押しつけようとしますか? もしもそうであれば、本質をみないという点で問題があるかもしれません。でも味に対してだけならば、「自分は味の通だ!」と勘違いしているかわいい人。家族の中で優位に立ち、気持ちよくなっているのですから、笑って許してあげてほしいと思います。
 たまに、有名店のお弁当箱の中に手料理を入れてみては? お父さんの反応をみて楽しむなど、あなたとお母さんにストレスがたまらないのが一番です。きっと将来、あなたは「味のわかる」パートナーを選ぶでしょう。ある面、お父さんは反面教師ですよ。 (以上引用・回答増田明美スポーツ解説者・2012年3月18日 読売新聞)
★(以下はSさんのコメント)
これ読んで思い出しました。昔の話です。私がまだ21−22歳の頃です。あの頃は結構ウイスキーガボガボと飲んでいました。ところが職場の中の男に偉そうな事言う奴がいまして、「サントリーの角は美味いよなーーー。あれ飲んだら答えられねーーー」なんてさも通ぶって言う。ナンデエこの野郎!ふん!なんて思ってる私!

あの当時は社内旅行が盛んな時代でした。7000人からいる会社ですから、各課や係りだって何十人といる係りの旅行ですから20人位だったかな。昔っからこういう通ぶる奴が大嫌いな私。

当時ニッカウヰスキーってのがありました。安いやつは美味くない!なんてモンじゃない。けど金なしの若者私たちはこれを飲むしかない。サントリーの角、なんて当時高くって!1本買ったら高い高い!! (通称角、と呼んでいる物で本当はなんて名前なのか今でも知りません。)親父のをチョコッと盗み飲み、してました。

さて、係りの旅行の日・・・・
私は父から角の空き瓶もらって、そのニッカを角瓶の中に入れました(父はノンベエだったから我が家には酒、ウイスキーがいつもバッチリありました)。係りの宴会が終わった後の若者だけの雑談二次飲み会を一室に集まって始めました。上司がいないから面白いし気も楽。「今日親父の角もらってきた。飲むーーー?}と隠していた持参のビンを私は出しました。

中身がニッカと知らないのは生意気なそいつだけ!!
「エーーー!飲む飲む!!」
喜んで水割りにしてそいつは飲むこと飲むこと!
「美味いなーー、角は一番だな」
「うんうん、」と私たち。
飲む振りして大して飲まなかった。
次の日、そいつはひどい二日酔いで、頭痛ひどく、青い顔してバスの中に居ました!
ざまあみろ!てんだよーーーって私は思いました!!!
私はこんな女の子でした。

えへへ、遠い昔の懐かしい、ほろ苦い話です。

実言うと、学生時代先輩にこいつと似たような奴がいて、そのときは確か特級の中に二級を入れたかブランド品を変えたかして飲ませたこともあります。もうはっきり覚えていませんが。このときは仲の良い友人とやったと記憶しています。学内の研究室で写真展用の焼付けだかなんだか終わってやれやれ一段落。ご苦労様の中間打ち上げ会だったような気がします。このときも面白かったーーーー!

◆上記に対する私の回答メール。

Sさま、こういう人はよくいます。ブランドに弱い人です。
もちろんブランドものはほかにくらべていいモノもあります。
でも自分はその違いがわかるのだと、カン違いする人もいます。こういう人はたいてい他人の持ち物をみて、ブランドものでないとバカにすることが多いようです。値段が高いからあがめたてまつる、ということもあるのかも知れません。こういう人たちが、いまのブランド店で固まっている銀座を支えているのでしょう。私はバカバカしいので、こういうブランドでモノを判断しません。
ブランドである程度品物を推測するのは、自動車だけです。
これは自分の勤務先の会社が部品を納めていた関係で、ある程度そこの技術水準なり経営水準なりが判断できるからです。
それで・・・・・
一昨年6月帰国してから、レールパスが使えるうちに、日本全国を駆け巡りました。そのうちニッカとサントリーの話をします。
北海道・余市のニッカ工場は、厳しい寒さのなかに凛としたたたずまいを見せていました。工場のレイアウトも、そこに働いている人たちにも、北国特有の勤勉さと謙遜さを兼ね備えた人たちが多かったように感じました。
京都・山崎のサントリー工場にも行きました。ここはウイスキーという製品にとっては南国で、良くも悪くも南国の匂いがしました。これはウイスキーのふるさと、スコットランドの土地柄との比較においても言えることではないでしょうか。そこの受付のきれいなお姉さんが客の私に向って今風の崩れた日本語、たしか「・・・・・してもらっていいですか」式の質問をしたので、私は思わず言いました。
「あのねえ、そういうときは・・・・・して頂けませんか?と素直な日本語を使いなさい。おたくの会社は過去文豪を輩出していて、りっぱな著書を何冊も出している先輩が何人もいた会社なのだから、たとえ受付でも、せめてきれいな日本語を使ってよ」。
でもその受付嬢は、そのことも知らないようでした。サントリーはどのような社員教育をしているのですかねえ。
私の独断と偏見で評価すれば、両社のウイスキーの味は、ニッカのほうが優れていると思っています。にもかかわらず、巷間ではサントリーのほうが高級とされ、売上げも大きいのは、あの「宣伝力」に負うところが大きいのです。開高健山口瞳柳原良平などそうそうたる顔ぶれです。
明治の開明期、スコットランドに渡ってウイスキーづくりを学んだ同じ人が係わった別の会社のその後が、このように製品でもマーケティングでも、大きな差を生みだしたことを、私は面白く思っています。
・・・・・ということで、面白い話題を有難うございました。ではまた。□