tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

日記140111・消えるしんこ細工

tokyokid2014-01-11

 しんこ細工は、江戸時代から続く白米の粉を原料にした和菓子の一種で、漢字では「糝粉細工」と書く。時代劇小説にはたびたび出てくる子供向けの和菓子である。昭和の時代まで、祭などでしんこ細工職人が街頭で原材料の「しんこ餅」にいろいろな色をつけ、お客のリクエストに応じて花や動物や玩具などの形にととのえて売ったものだ。読者諸賢のなかには、戦後も夜祭の屋台などで、このしんこ細工を買った覚えのある方も居られるだろう。
 昨年末の読売新聞に、東京で最後に残った一人のしんこ細工職人が引退する、という記事が載った。もう齢だから、というのだが、70歳台のその職人がやめるに当ってのセリフがいいねえ。「もう鼻をすすりすすりでなければしんこ細工を作れないようになった。これではお客さんの子供に対して申訳ない」、だってさ。なんともいなせな引退の弁ではないか。
 写真はその読売新聞の電子版から借用した最後のしんこ細工。
 江戸を愛した永井荷風が聞いたらなんと言うだろうか。