tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

日記130214・白と銀と黒

tokyokid2013-02-13

日記130110・白と銀と黒
 日本では見慣れたこういう駐車場の風景を見ると、現役の頃、勤務していたアメリカの現地法人で、現地のアメリカ人に言われた質問を思い出す。彼はわたしに問うた。「なぜ日本人は自分のくるまの色が、この三色しかないのか?」と。彼は不思議でならなかったのだ。なぜなら、ほとんど全部の私ども日本人駐在員が買い求める自家用車の色が、白か銀か黒の三色しかなかったからである。
 アメリカでは色とりどりのくるまが走っている。赤、青、黄、緑、茶、灰色はもちろんのこと、ピンクや藤色や空色、同じ緑でも浅い緑色や青の混じった日本の昔の電電公社のくるまの色やBRG(ブリティッシュ・レーシング・グリーン)と呼ばれる濃い緑、同じ赤でも赤鉛筆の赤、郵便ポストの赤、紅殻色、小豆色、もっとほかの中間色がいろいろ、それにステンレスの地金色などまである。自分の趣味や好みを自分用のくるまの色で表現しようとしない日本人が、アメリカ人の彼の眼にはよほど奇異に映ったに違いなかった。アメリカ人には、こういう没個性の色しか選ばない日本人の趣味がまったく解し兼ねたのだろう。
いまの日本ではもうひとつ、市販されている日本のくるまのペンキは高級車から軽自動車に至るまで全部メタリックに統一されてしまって印象が画一的となり、一方のソリッドカラーのペンキはほとんど見られなくなって色の感覚のバラエティが失われてしまった。メタリックとソリッドでは風合いがまったく異なるから、これも日本車の色の個性を失わせる一因かも知れない。
 社会の中で自分は目立つまい、目立つまいと無意識にそちらが優先してしまう日本人の心情は、アメリカ人の彼の理解をはるかに超えていたようだった。優先順位が個人か集団かの社会の差を、そこに見た気がした。