tokyokidの書評・論評・日記

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くるま120410・女王陛下の次期戦闘機(改訂版)

tokyokid2012-04-10

くるま120410 女王陛下の次期戦闘機(改訂版)

 帰国後ずっと懸案事項だったうちの女王陛下の次期戦闘機の機種選定がついになされた。次期戦闘機の機種選定経過は次の通り。

まず女王陛下の希望購入仕様項目は次の通り。
内外ともにデザインのいいくるまで、運転の取り回しの楽な乗用車。選択できる色も豊富であることが望ましい。キビキビと走り、曲り、止るくるま。車体はなるべく小さく、できれば5ナンバーの小型車がいい。

次に候補に挙がった全機種は次の通り(3ナンバー車は大型、5ナンバー車は小型)。
【セダン】ホンダ・アコード(大型)、マツダ・アクセラ(大型)、トヨタ・カローラ(小型)
【2Box】日産ジューク(大型)、マツダ・デミオ(小型)、マツダ・ベリーサ(小型)、トヨタ・ビッツ(小型)、トヨタ・アクア(小型)
【ワゴン】トヨタアベンシス(大型)、トヨタフィルダー(小型)、三菱コルトプラス
【スポーツ・その他】ホンダ・シビック・ユーロ(大型)、ホンダ・CR−Z(大型)、スバル・BR−Z、マツダ・ミアータ、ダイハツコペン(軽)、三菱パジェロ・ミニ(軽)または(小型)
【外車】BMWミニ(小型)

選定過程で候補から外れた車種とその理由
ホンダ・アコード/まともな乗用車であり、友人が乗っていて信頼性も確保されているのが確認できており、くるまとしては良さそうだが、車体色に地味な色が数種しかなく、色の選択の幅がほとんどないに等しい。これでは「このくるまに理由があって乗っている」という個性を誇示することができない。このメーカーは妙なメーカーで、安い量販のくるまには、色の選択がゴマンとあるのに、こういうもともと乗り手がプレステージを求めるくるまには色の選択が少なく、白、黒、銀くらいしかない。アメリカ車などでは、キャデラックやリンカーンには、非常に幅の広い色の選択ができるように企画されている。この点日本のメーカーは非常に物足りない。
マツダ・アクセラ/小型のデミオがあるので、マツダの大型を買う意味はない。乗用車のドンガラの大きいものは、高齢者にとっては取り回しに苦労するものである。とくに日本のせまい駐車場で困るだろう、という判断があった。だいたいアクセラはもともとアメリカ向けのくるまだしね。
トヨタ・カローラ/街を走っているカローラの数が多過ぎて、個性を出しにくい。くるまとしてはいいくるまのだが、いかにもトヨタの80点主義のくるまであることもマイナス評価につながった。ただA点からB点への移動手段としては、安くてしかも信頼性抜群のこのくるまはおすすめなのであるが、なにせ個性派の「女王陛下」向きではなかった。
マツダ・デミオ/デザインがよく、小型で取り回しもよさそうだが、マツダはマイナーなメーカーで、乗り始めてもすぐに飽きがきそう。ということは、くるまそのものの評価というよりは、メーカーの評価が低い、ということだ。世にホンダのくるまに乗るのは「オレの本田宗一郎以来の伝統なんだ」と胸を張るユーザーが居たとしてもおかしくはない。でもマツダではそういうことは起こらないのだ。ホンダとマツダの好みの違いは、自分がその他大勢でガマンできるかできないか、ということに尽きると思う。蛇足だが、このくるまは最近 skyactive という、ハイブリッド車なみに燃費をよくするシステムを搭載したくるまを新たに設定して発売した。でもくるまも含め機械の信頼性は、部品の数が多ければ多いほど下がる。それに新機構の信頼性の問題が重なる。だから女王陛下が検討の対象としたのはこのくるまの普通のガソリン車で、燃費対策車ではなかった。
マツダ・ベリーサ/BMWミニの国産対抗車という触れ込みだが、それにしては車体が大きく、デザインも悪く、べつにこれでなければならないという特徴もない。特にミニの初代は、小さくても大人4人が乗れてクルージングできる、というのがウリだった。しかしサイズを大きくしたが故に、BMWミニはかつての英国イシゴニスの初代ミニたり得ず、それを手本とした日本マツダのベリーサは、さらにさらにミニに似て非なる単なる安ぐるまになってしまった。
トヨタ・ビッツ/このくるまは、そのエクステリア・デザインの良さのゆえに、もともと女王陛下のお気に入りのくるまであった。車体形状も2ボックス、セダンなどと豊富で、選び甲斐があると思われた。今回の次期戦闘機候補には、早い時期から上がっていた。ところがそこここの駐車場やディーラーの試乗車など、このくるまの運転席を覗いてみると、そのチャチなインテリア・デザインというか、おもちゃじみたデジタルの計器類を含むダッシュボード・デザインを見ているうちに、早々に候補から脱落した。女王陛下の評価は、これならまだまともなアナログ・デザインのホンダ・フィットのインテリアのほうがよく、このくるまを買うには及ばないとなってしまった。実際これほどエクステリア・デザインがよいのに、安物のインテリア・デザインのくるまは珍しい。同じ理由で、トヨタ・プリウスはいかに燃費のいいハイブリッド車であっても、今回の候補には挙がってこなかった。それになんといっても、日本の小型量販車は、コストダウンを座席で実現すると見えて、いかにも腰痛の私どもが乗ると短距離で腰を痛めるような形状・品質に見えてしまう。実際に乗ってみても同じだ。車格が違うから当を得ないが、たとえばメルセデスのCクラスなどは、運転席も助手席も、しっかりと搭乗者の腰をサポートするしっかりした座席がついていた。なべて欧州車の座席はよくできている。これならあとからレカロのシートに付け変えるには及ばない。このあたりが、量産・量販をめざす日本車の弱点だ。
トヨタ・アクア/ちょうどタイミングよく、トヨタから新型ハイブリッド小型車が出た。このくるまは、シャシーはビッツであるが、エンジンが新設計のハイブリッドで、市販車最高レベルの燃費を狙ったくるま。キャンペーン中のディーラーに行って実車をみてみたが、外装・内装ともビッツそのもので、例の新車の信頼性の問題もあり、ひとまず敬遠するに如くはないとの結論になった。2box車でいかにも使い勝手はよさそうだったが、後述のスバルBR−Zと同様タイミングが合わなかった点と併せ、貧しいインテリア・デザインの2ネガティブ・リーズンズが「買わない」決め手となった。
トヨタアベンシス/英国製の大型ワゴン車だが、英国工場製品の品質は信頼するに足らずと判断。じつは他社のセールスと話しているうちに、英国製よりもタイ製のくるまのほうが、まだしも信頼性の点で優れているという話があり、労働者が労働貴族になって働かなくなってしまった英国の工場製ではさもありなん、と妙に納得してしまった次第。
トヨタフィルダー/カローラと同じく、道を走っているくるまの数が多過ぎる。またこれはどうみてもせっかくのワゴン車でありながら量産大衆車であることがフンプンと匂うくるまであり、その点で「いいものを使っている」誇りというものが感じられなかった。もちろん実用にはこういうくるまがあること自体は日本の幸せなのだが、フィルダーは「良家の奥さまが家事にお使いになる、人も荷物もそれなりに乗せられる用途の広い」ワゴンであるというよりは「商店が配達に使うバン」のイメージが強く、この点も女王陛下の選択にとってはマイナスとなった。
 三菱コルトプラス/このメーカーと三菱車の品質は、トラックのホイールが外れた死傷事故とその後始末をみても信頼するに足らずと判断。もちろん「ふそう」と「三菱自」は別の会社なのだが、戦前から政府の庇護を受けてきた軍需産業のミツビシは、親方日の丸の体質があり、まだまだ前掛け商法に徹しているとはいえない。昔の日産と同じで、オレたちはいいくるまを作っているのだから、消費者は黙って買って乗ればいいのだ、買わないのは客の認識が足りないのだ、という誤った気負いがあちこちに透けて見える。
 ホンタ・シビック・ユーロ/当分日本で生産を休止するシビックの2boxスポーツ版である。特色は英国での設計・生産というところであり、カタログ・スペックからみれば極めて魅力的なスポーツ車に見えた。無鉛プレミアム・ガソリンで2リッター・DOHCエンジンを駆動し、7800回転で201馬力、5600回転で19.7キログラム・メートルのトルクを叩き出す。当然6速マニュアルのミッションで、前後18インチのタイヤを履く、というやる気満々の数量限定のスポーツ車だ。引合を出した時点で、車体の色が赤のものしか残っていなかったが、さすがレースの本場の手が入っているだけに、内外装言うことなしの仕上りに見えた。ただし前述のトヨタアベンシスと同様、英国工場製という点で生産品質上の懸念と、やはり高齢者に手動6速のキア・チェンジは日常わずらわしいとの理由で、ボツになった。
 スバル・BR−Z/トヨタとの共同開発で設計からまったく新しくした新車の一代目は、最初の一年目の生産が終わるまでは生産品質が保証されないので外した。この点われわれ買う側から言わせれば、新車とくに新設計・新規発売のまったくの新車は、発売後一年間は買うべきではない。初期のトラブルが多いからだ。この点では、品質を誇るあのトヨタ車ですら例外ではない。私の友人で新型の新車を買って、ホゾを噛んだのが何人かいる。とどのつまりは新車保証期間ということで、最初のうちは無料で診てくれるが、そのうちに有料となり、修理に手数がかかるくるまはユーザーのほうで嫌気がさして売り払ってしまうのがオチだ。このくるまの発売時期と女王陛下の購入時期とは、最初から噛み合わなかったのである。
マツダ・ミアータ/2人乗りは実用的ではないので外した。本当はこれのハードトップ車がよかったのだが、やはり2人しか乗らないスポーツ・カーでは、駅まで人を送るときでさえ困る。このくるまも、くるまとしては、あとから出てきたBMWの同型車などにくらべれば、価格は安いし故障は少ないし、バッジを除けばいうことなしなのだが、それでも日本で乗るのに、SLKやM3(だったか?)を買うオカネモチが日本にはなんと多いことか。この現象は、私には理解できない。
ダイハツコペン/マツダ・ミアータと同じ。このくるまは軽自動車だけに、スポーツ車好きの若者が乗るにはいい選択だと思う。いまどきの若者の「カッコヨサ」というものは、茶髪に尻の割れ目の見えるジーンズをだぼだぼとはくことらしいが、スカーフを巻いた彼女を助手席に乗せて、湘南道路をさっそうと走って江の島に行く、なんていうのは、もう古いのだろうねえ。裕次郎も遠くなりにけり。
 三菱パジェロ・ミニ/ジープ型のいわゆるSUVは、取り回しがよくないし、女王陛下にとってはとくに4輪駆動を持つ意味もないので外した。だいたいうちは、ドンガラばかり大きくて、一人で乗るムダの多いSUVにはもともと興味がないのに、そもそもこの車種を候補に挙げたこと自体、間違っておりました。
BMWミニ/これは論外なことに、最寄りのディーラーに電話でカタログを請求したところ、愛想の悪い男のセールスがでてきて応対し、結局カタログを送ってこなかった。私どもは、カタログのスペックを見て決めるから、カタログを送ってこないということは、すなわち先方はくるまを我々に売る意思がないと理解せざるを得ない(さすがにここに挙げた日本車のすべてのディーラーでは、こういうことはまったくなかった)。この車種は、もともと女王陛下の希望候補のなかでは上位にあったが、この外車ディーラーの対応のまずさから、候補車種には到底なり得なかった。こんなディーラーから無理して買っても、修理サービスやなにやかやで、購入後の不満が積み重なることは間違いない。このようなわけで、このディーラーは一台くるまを売り損なった結果となった。また何が悲しくて高価で修理費も国産車にくらべて格段に高く、ディーラーの数も限られているなどサービスも国産各社に劣り、デザインを含む設計品質は見るべき車種もあることはあるが、生産品質に於いて国産車に一歩も二歩も譲る外車を選ばなくてはならないか、という議論もあった。日本車を外国で売るときは、くるま本体もさることながら、部品供給や修理工場のサービス体制など、万全を期してのぞむのが当り前のことだ。日本では法外な価格設定を永年にわたって消費者に押し付けるなど、頭の高い商売を当り前としてきた外車を買わなくてはならない義理はなにもない、という現実を見据えた結論に自然に落ち付いた、ともいえた。

 この結果、最終的な候補に残ったのは「ホンダ・CR−Z」と「日産・ジューク」の二車種となった。これら二車種の主なスペックは次の通り。

 排気量(cc):ホンダ 1500+モーター/日産1500
 車体寸法(長×幅×高、mm):ホンダ4080×1740×1395/日産4135×1765×1565
 最低地上高(cm)とWB(mm):ホンダ15、2435/日産17、2530
 最小回転半径(m):ホンダ 5.0/日産 5.3
 車両重量(kg):ホンダ1180/日産1170
 タンク(リットル)とガソリン(種別):ホンダ無鉛40/日産無鉛52
 燃費(J008、リッター当りキロ):ホンダ22.8/日産17.2
 同(010・15、同):ホンダ25.0/日産19.0
 タイヤ(サイズ):ホンダ195/55R16−87V/日産205/60R16−92H
 ブレーキ(種別):ホンダ ディスク/ディスク/日産 ディスク/ドラム
 その他(エンジン動力関係):ホンダ ハイブリッド/日産ガソリン

両候補車に対する女王陛下の評価は次の通り。

1. ホンダ・CR−Z
スポーツ車であるから、帰国までアメリカで永年乗っていた日産350Zとくらべても違和感がない。内外のデザインがよく、色も特別色の黄色(プレミアム・イエロー・パール?)が選べる。ハイブリッドだから燃費がよく、エコ補助金と取得税・重量税が免除の対象となる。大型といっても車体の幅が僅か40ミリ大きいだけである。ただし高価。またこのくるまについては、一家で二台所有している友人がおり、その友人のこのくるまに対する高い評価やデータの蓄積があったので、最終的に安心してこのくるまに決めることができた。現在ガソリンの価格はじわじわ上がっていることではあるし、このくるまのハイブリッドは運転側に振ってあって燃費側には振ってないのだが、気は心ぐらいの効果はあるだろう。ただしこの点に関する(購入費とのバランスという点で)コスト・パフォマンスは理屈に合わないのは承知の上。

2. 日産・ジューク
デザインが斬新である。だがSUVであるので、事実上ひとりで乗ることが多い女王陛下の場合は、ムダのかたまりになる。日産の場合は気心の知れたディーラーであるので、失うには惜しかった。比較的安価。このように、このくるまはホンダCR−Zを超える評価にはならなかった。

 この結果、女王陛下の次期戦闘機は「ホンダ・CR−Z」に決定した。

 最後に蛇足で、今回の「くるま選び」を終った感想を記してみる。ひとつは日本メーカーの商品企画のまずさである。いまや消費者の好みは千差万別であるのに、それを取り込む体制ができていない。利益優先、コスト優先で経営すると、くるまのような嗜好商品は、消費者を満足させるくるまをラインアップに加えることができなくなり、客は離れる。たとえば、女王陛下の選択肢のなかには、使い勝手のいい、できれば小型のワゴン車または2ボックス車がいい、という希望があったのだが、国産車でこれを満足させるくるまはなかった。日本お得意の軽自動車を入れてもなかった。これが欧州車となると、少なくとも設計品質のいい、デザインのいいこの種のくるまはいくらでもあるのだが、なぜ日本のメーカーはせっかく世界に冠たる生産品質や技術力を持ちながら、欧州車のような「客に買う気を起こさせる」いいデザイン、いい色、いい取り回しのくるまを作ることができないのか、大きな疑問が残った。もっとも欧米のくるまは、新車価格が高いのと、修理代が日本車にくらべて法外といえるほど高いので、道路事情の違う日本で乗るにはまったく適当とは言えない、という事情がからむ。この日本ならでは特殊事情が解消されるのは、あと何年かかるのか、あるいは何年かかっても日本人のデザイン感性では永遠にできないものなのか、このあたりの問題点が非常に気にかかるところである。□

*写真は女王陛下が日本で乗る次期戦闘機、ホンダ2012年型・CR−Z(期間限定特別色・プレミアム・イエロー・パール2)のボンネット