tokyokidの書評・論評・日記

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日記151125・US Cars 40&50, Tucker

tokyokid2015-11-25

くるま151125・US Cars 40&50, Tucker
 1948(昭和23)年の一年限り、それも僅か51台限りで消えていったアメリカ車の話をしよう。1948年型 Tucker だ。この新規参入を果たしたメーカーのことは、著名なハリウッドの映画監督のコッポラと共作者ルーカスがオーナーの名を取って「Tucker」という映画を作ったので、ご存じかも知れない。この二人は、実際にくるまの Tucker の所有者でもあった。
 Tucker はいいくるまを作って当時のビッグ・スリープラスのアメリカの自動車業界に精いっぱいの抗議をしようとしたのかも知れない。当時の自動車メーカーが作れないでいた顧客にとって「理想的な」乗用車を開発して、少なくとも彼らに一石を投じようとしたに違いない。そして自動車メーカーのみならず、当時のマスコミや証券取引所などから「証券詐欺」の疑いをかけられたことが原因で、翌1949年に会社ごとつぶされた。筆者には、この一連の動きに当時自分たちの既得権を守ろうと必死だった後年のビッグ・スリーが無縁だったとは到底思えない。少なくとも表面に出た動きのほかに、水面下での動きが少なからずあったはずだ。出る杭は打たれる。こうして Tucker はわずか51台のくるまを残して消えていった。
 読者諸賢もご存じのように、アメリカの自動車工場はミシガン湖の東の方角、デトロイト周辺に密集している。 Tucker は珍しくもミシガン湖西岸のシカゴで工場を立ち上げた。シカゴはアル・カポネ以来のギャングの巣窟であったことも周知の事実だ。なにか匂ってきてしまう。
 日本でこのくるまは、たしか愛知県のトヨタ自動車博物館に実車があるはず。常時展示しているとは限らないので、見に行かれる方は事前に確認が必要。写真は手持ちのビデオ「Tucker」のラベルと、ネットから借用したくるまの写真。