tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

日記200321・曲学阿世の徒

日記200321曲学阿世の徒

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 世の中変ったというしかない。なにしろ昔は凄かったねえ。政治家が学者それも東大総長をつかまえて「曲学阿世の徒」呼ばわりをするのだから。いまなら逆に学者が政治家を指して言う言葉だろう。

 昭和251950)年53日、当時全面講和を主張した東大総長・南原繁を指して時の首相・吉田茂は南原を「曲学阿世の徒」と決め付けた。スゴイねえ。「曲学阿世の徒」とは「学を曲げて世におもねる奴ら」という意味だから、普通なら学者が政治家に浴びせる言葉だ。時代も戦後混乱期で、世は「全面講和か部分講和か」で揺れていた激動の時代だったから、これしきのことは驚くに当らないことなのかも知れない。

 私は個人的に吉田茂が首相在任中にカネをポケットに収めたことは絶対になかったとは言い切れないと思っている。その人が、あまり余得には縁がなさそうな学者を指して「曲学阿世の徒」と呼んだのだ。この場合に限っては、そういわれるのは吉田茂のほうであったと私は思う。ともかくこの時代は桁外れの時代だった。

 いまならもりかけを食う首相に対して「曲学阿世の徒」とは誰でも言える。70年の年月を経たあとでは、どちらが曲学阿世の徒だったかは判断がつくだろう。ま、世の中がちまちまと小さくなったということか。言うほうも言われるほうも大人物、なんてことはなくなったらしい。□

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(写真はネットから借用)

日記200311・エコ箸

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 エコ箸、いやだねえ。あれを出されると虫唾が走るよ。

 いわゆる大衆食堂でエコ箸を出すところが増えた。と思ったら、相当な料金を取るたとえば小じゃれた和食食堂などでもエコ箸党が増えた。人がいちど口の中にいれたものを、自分の口に入れるか。だいたい入れる気になるものか。中には箸で歯をせせったり、箸の半分ほどまでも嘗め回して使う人も居るというのに。

 このエコ箸などという馬鹿げたことが始まったきっかけは、環境に配慮して、ということだったと思う。でも考えてもご覧うじろ。木材全消費量のうち箸に使う量がどれほどのものか。まして箸を作るには端材を使う。家庭の大黒柱になる立派な木材を削って作るわけではない。だから割箸が使う木材の量といっても、とても問題になる量ではない。

 おれは自分が自由で豊かな人生を送る権利があると思っている。それにも増して、自分の健康な生活を守る・送る権利があると思っている。このすべてにエコ箸は逆行する。まして現在のように、中国の生物兵器研究から洩れたといわれるコロナウィルスが日本でも蔓延しているところだ。他人が歯をせせったかも知れないエコ箸を自分が使い回さなければならないとしたら、気持ち悪くないのだろうか。いまがこの悪弊をやめるいい機会だと思うが。

 まったくバカバカしいことが流行り出したものだ。私が自分用の割箸を持ち歩かなくて済むようになるのはいつのことか。□

(写真はネットから借用)

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日記200301・四つ違いのガールフレンズ

日記200301・四つ違いのガールフレンズ

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 私には「姉ばあさま」「妹ばあさま」と呼ぶそれぞれ四つ違いのガールフレンドがふたりいる。一番下の妹ばあさまが今年の東京オリンピックとともに傘寿だからおよその年齢を推察していただくことができよう。私を含めてこの三人は、ある文芸関係の趣味を通じて友達なのである。だから三人とも日本語にはうるさい。そんじょそこらのアナウンサーや新聞記者や、もちろん歌手やいい加減な雑文書きなど足元にも寄せ付けない。話題といえば、例えば「エノケンは<灯影>をキチンと<ほかげ>と歌っていたが、石川さゆりはやはりというべきか<ひかげ>だね」、「いやいや、さゆりだって後からはちゃんと<ほかげ>と歌っているよ。<ひかげ>は<日影>だからね」「ああ、葉山の日影茶屋ね」という種の会話なのである。姉ばあさまは明治生まれの丁寧できれいな女房言葉を話した私の母親を彷彿させるし、妹ばあさまは戦後の混乱した日本語をそのまま日常語として使うから、私としては最近の日本語の変遷を知る上で至極便利な存在なのである。もちろん日本語を考察する上でのことだけだ。ちなみに、英語の「girl friend」には、アメリカでは通常身体の関係がある男女関係を指すが、日本ではそんなことはない。「女友達」と同じく、一緒に寝ても寝なくても、一般的な意味での友達関係を指す。このあたりやはりアメリカは「進んで」おるな。

 姉ばあさまは藤沢周平の小説の読後感についてこう言う。

文中 狭斜 とありだいたいの意味は知ってはいましたが これまた聞いた事無し、私も使ったこと無し。辞書で調べました。本の帯に藤沢時代小説 乾いた叙情 構成の緻密 とありますが その通りです。ついでに冬至もコレはGで検索 昔 戸越公園駅の近くの銭湯で冬至には柚子が浮いていた?様な記憶有りです。ではまた」。続いて「狭斜」は「遊里」のことと書く。色里や狭斜の巷を知らないで、なんでも「赤線」で済ませてしまう昭和以後のモボ諸兄・モガ諸姉は以て如何と為す。ま、なにを言われているのかすらわからないのではないか。

 一方妹ばあさまのほうは、あっけらかんとこういう。

「お師匠様、身体の具合がよくないのに、仕事をお願いしていいものやら、どうしたものかと考えあぐねておりました。今回はやって下さるそうで、恐縮です。後二時間ありますがもう投句はないとおもいますので送ります。よろしくお願いします。(署名)」。

 意味はよく通り、なんともわかりやすい文章だが、余韻がまったくない。これが昭和ヒトケタならこう書く。

「前略。体調がお悪いと伺いました。齢をとれば誰しも同じ道を歩むとはいえ、鬱陶しいこととお察し申し上げます。その上で仕事をお願いするのは誠に心苦しい次第ですが、周りに人が居りません。後がないので原稿をメールでお送りさせていただきます。今回だけは無理を承知でお願いの件、なんとか間に合わせていただければ幸甚に存じます。かしこ。(署名)。

 このふたりはメリー・ウィドウ。そろそろ私あてにラブレターが届いてもいい頃だと思うが、その気配はまったくない。あーあ。昭和ヒトケタに極端に近い私でも、候文や擬古文はもう書けない。時代は移る。

★米傘寿はさまれ俺は死に損ね(謝)□

(写真はネットから借用)

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日記200221・拝啓JR東海社長様

日記200221・拝啓JR東海社長様

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 東海道本線(在来線)でいえば、JR東日本の境界は熱海で終る。そこから先「米原」まではJR東海の担当地域だ。問題はかつてのこの黄金路線にある。

 JR東海は東海道新幹線を持っているから、収益力は抜群だ。東京―大阪間のリニア新幹線の開発を独力で進める余力もある。このほうはとりあえず名古屋までの早期開通を目指して工事中だが、その間在来線はもうからないから放っておく方針のようだ。噂によれば、なにしろJR東海の全収入の 80% は新幹線から上がるというのだから。

 それが在来線となると、JR東日本東海道本線JR東日本の運営で熱海まで12両なり16両なりの、グリーン車2両も連結した長い列車が運行されている。例外はない。ところが接続するJR東海東海道本線・熱海から西に向かう、沼津、静岡、島田、浜松行などの東海道本線は長いときでも6両、短いときは3両(これが実に多い)、しかもグリーン車はまったく連結されていない、という状態で運行されている。だからラッシュや混雑時には立つ人がでることはもちろん、日中でも年寄が学生に席を占領されて座れないのはむしろ当り前の光景なのだ。グリーン車も連結していないから、カネを余計に払っても座る手段はない。「年寄に席を譲れ」とは年の供養に車内アナウンスをしているところだが、効き目はまったくないと言ってよい。この現状をJR東海の社長はどう見ているのか、ぜひ聞かせてもらいたい。まさかこれで当り前と思っているのではあるまいね。

 実はJR東海も、新幹線で儲けたから、在来線の駅舎はこのところ改良され、軒並み歩行者が線路をまたいで往復できるように広い架橋を作って出札や改札口も橋上に整理するなどした。でも車両編成には未だに手を付けていない。JR東海でも、通勤線である高蔵寺経由の名古屋~岡崎間などは、6両編成の、なんというのだろう、ベンチシートではない、平行して座席を四つ並べて座席を増やした6両編成だかの電車を走らせている。それを熱海―名古屋間の東海道本線でやってくれればいいのに、費用もリニアを新設するにくらべれば九牛の一毛、いくらでもないと思うのだが、やる気はないのだろうか。いままで乗車賃を払ってJR東海を支えてきたのは、従来線の客ではなかったのか。すぐ行動を起してもらいたい。私だったらいますぐ、熱海から米原までの在来線を走らせるのは全部6両編成以上とし、その6両の真ん中2両はベンチシート車にして前後の2両づつは平行座席シートの車両にする。ほんとはグリーン車も増結してもらいたいが、ぜいたくは言わない。電車編成の真ん中は階段に近いからそこに元気な学生に乗ってもらって、疲れ果てた老人は多少ホームの前後まで歩いてもらって、必要があれば少し時間を早く行ってもらって電車を待つようにすれば、必要な人は坐れて元気な人は立つ、ということに自然になると思うのだ。伝え聞くところによると、JR東日本の会社としての目標は「すべてのお客様に坐っていただくこと」だそうだ。壮大な目標と思うが、いいことはJR東海でも真似をしてみたらどうか。さあ、JR東海の社長さん、なんと返事なさる。□

(写真はネットから借用)

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日記200211・ポットラック

日記200211・ポットラック

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 アメリカ人はパーティ好きだ。中でも気軽に近所仲間あたりが誰かの家に集まって「ポットラック」というのをやる。これは「持ち寄りパーティ」で、参加者各人が食べものを一種類づつ持ち寄って簡単なヒルメシにしてしまうのである。一人一種類の食べものを持参するだけだから、たいした負担にはならない。普通飲物は場所を提供する人が用意するようだ。

 ま、語源から言えば、日本語では「ヤミ汁」ということになろうが、アメリカではこのような場合誰も怪しげな食べ物を持ち込む人はいない。料理が得意な人が自分でたとえばスパゲッティを作るしサンドイッチでもいいし、時間がなくて仕方なく店でクッキーを買って持っていく人もいる。でも決して誰も「やみ汁」のようないたずらはしない。

 日本でもこのポットラックをやればいいと思うのだが、それがうまくいかない。それは日本人には虚栄心があって、他人より立派な食べ物を持ち込もうとする人が必ず居るからだ。だから日本では料理の品評会になってしまって、気軽な午後のパーティというわけにはいかないのだ。

 日本人が完全に TPO をマスターして、必要に応じて気軽なポットラック・パーティを開けるようになるのはいつのことだろうか。□

(写真はネットから借用)

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日記200201・イタリアンアクセントの英語

日記200201・イタリアンアクセントの英語

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 今回は英語の話だから、苦手の方はいまのうちに逃げ出していただこう。まずはアクセントに関係のない英語の冗句から。出典は海軍爺さんで鳴らした阿川弘之の作品から旧海軍士官がお好きだったというアメリカン冗句。(海軍こぼれ話・阿川弘之著・光文社文庫

 ★アメリカ西海岸を出発して中西部に向う大陸横断列車がアリゾナ州のインディアン保護区にさしかかった。運転士がみると前方の線路上で二人の人間が絡み合っている。汽笛を鳴らしてもどかない。やむなく急ブレーキで急停車。運転士は線路に降りて二人を尋問した。

「なぜどかなかった」

インディアンの男が答えていうには、

She was coming, I was about coming, You were also coming, but you were only guy who had a brake.」。

おわかりですな。日本では「イクイク」、アメリカでは「to come」または「coming」なのであります。

 さて、イタリアンアクセントの英語の話。地場の英語をイタリアンアクセントで読んでみてください。

The Italian who went to Detroit. (Must read with Italiann accent)

One day, I gonna Detroit to bigga hotel. Inna morning, I gonna down to breakfast. I tella the waitress I wanna two pisses toast. She bring only one piss. I ttella her I wanna two piss, she say go to the toilet. I say your no understand. I wanna two piss on a plate. She say no piss onna plate, you sonna ma bitchi. I don’t even know the laday and she call me sonna me bitch.

Later I gonna out to eat at the biggs restaurant. The waitress bringa me aspoon, and knife but no fock. I tella her I wanna fock. She tells me everyone wanna fock. I tella her your no understand, I wanna fock onna the table. She say you better no fock on the table, you sonna ma bitch.

So gonnaback to my room inna hotel, and ther is no shits onna my bed. I call the manager and tell him I wanna shit. He tells me to go to the toilet. I say your no understand. I wanna shit onna ma bed. He say you better no shit onna ma bed, you sonna ma bitch.

I gonna to check out and the man at the desk say ‘peace to you’. I say piss onna you too, you sonna ma bitchi. I gonna back to Italy.

いかがでしたか。笑えましたか。後者はさる大財閥の御曹司から教えていただいた冗句でした。この方はプリンストン大学の俊英でしたが洒脱な人でした。□

(写真はネットから借用)

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日記200121・感激した風景

日記200121・感激した風景

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 誰しもご自分でご覧になってよかった、感激した、という風景がお有りだろう。私の場合はそのひとつがアメリカ・カリフォルニア州の「死の谷」にある「Dante’s Peak」だ。写真を見ていただこう。

 アメリカの国立公園である死の谷の広さは、けっこうな日本のひとつの県くらいは優にある。全域それこそ死の谷で、冬の雨期を除いては雨が降らないから岩石だらけの荒れ地で、昔のモノ好きが豪壮な屋敷を建ててそのあとが一般公開されていたり、ところどころにオアシスがあっていまでも観光案内所や宿泊施設が建っていたりというほかは、まったくの荒れ地なのだ。しかも一部は海抜より低いから、昔この地が海から別れたときに残った塩分が塩湖となって残っている、という大層な国立公園なのだ。冬の雨期には、植物の芽がいっせいに芽吹くから、一面緑の芝生になる。この光景を扱ったカラー映画「砂漠は生きている」を戦後まだ高校生だったかのときに見た。当時まだ珍しかった「総天然色」の映画だったからいまでもよく記憶に残っている。当時はカラー映画のことをこう言った。たしかウォルト・ディズニーが作った映画だったと思う。

 1967年に初めてアメリカに行った。その年の冬に自分でレンタカーを運転して死の谷に行って実物を見た。それは感激した。世の中にこんな景色があるのだと思った。ロスアンジェルスからは行きやすかったので、ドライブ好きにはもってこいの目的地だった。それからも家族や友人を連れて何回も行った。いつ行っても新しい発見があった。日本では絶対に見られない景色だ。たしかにごく小規模のものならば、下北半島の恐山にその片鱗を見ることができる。でも県単位の大きさの、クレーターまでもあるこの雄大な景色には比べるべくもない。

 考えてみれば、そのころはまだアメリカで日本人を見ることは非常に稀な時代であった。□

(写真はネットから借用)

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