tokyokidの書評・論評・日記

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日記141125・最近のバター不足

tokyokid2014-11-25

 最近どこの食料品店の棚からもバターが消えた。日本の国はなにかおかしい。つい先年、牛乳が過剰生産で、生産地の北海道ではしぼりたての生乳をドブに廃棄したと報じられたばかりだ。それがこんどは牛乳の不足で、生乳を飲料用牛乳に優先的に振り当てる結果としてバターが極端に足りなくなるという。そしてスーパーの棚からバターがすべて消えた。「すべて」というのは誇張ではない。私の住む関東のスーパーでまだバターを置いてあるところがあれば、教えてほしい。
 これは物価を人為的に調整しようとする政策の破綻ではないか。つまり自由主義経済というのは、すべて市場原理にまかせる、ということのはずだ。「神の見えざる手」によって、ひとつのものが過剰生産になれば価格が下がって供給する者が減る。もし生産不足になれば価格が上がって供給者が増え、その結果値段は下がる方向に向う。これが自由主義経済の経済原理だろう。
 で、日本では農家を保護するために補助金を出し、補助金を出したがために農家に条件を出し、一方乳価つまり生乳の買い取り価格は事実上固定されたままだ。これではエサ代が上がるのに見合う生乳や肉牛の売値が保証されない酪農農家は、減っていく一方だろう。そうして自由主義経済とはかけ離れた農業運営をし、一方市場では海外からの輸入物を含めて自由主義経済下の供給と消費バランスだから、一方は固定、一方は自由な動きになって局地的または一時的な供給と消費バランスの不均衡についていけない。だから今回政府の措置として、海外からバターの緊急輸入をなんどかしなければならなくなった。そして日本の酪農家は減る一方だそうだ。
 冷蔵庫にあったバターの包装箱と、最近売られているバターの包装箱をお目にかけよう。かつてバターは西洋からの輸入品であったから、重量の単位は1ポンドであった。メートル法では450グラムであった。だから半ポンドは225グラムで、長いことチーズやバターは450グラムを基準にして売られていたものだ。それが物価の値上がりによって、消費者により抵抗感なく買ってもらうために、価格はそれほど変えず、重量を変えて目先を変える商法が跋扈しだした。写真はバター半ポンドが200グラムから150グラムに減った証拠だが、これはバターのみに限ったことではなく、食料品なんでもこの方式で値上げに対処している。ついこの間まであった半ポンド(225グラム)のお包装はどこに行ったのか。私の好みからすれば、値段は上がってもいいから、従来通りの1ポンド(450グラム)や半ポンド(225グラム)のバターを買って、朝ゆったりとした気分でトーストにバターを塗りたい。そんなささやかな望みを粉砕してくれたのが、今回の消費税増税とそれに伴うインフレの増進であった。国民の生活を保障するはずの行政府はいったい何をしているのか。安部さん、お宅はオカネモチだろうから物価が上がっても困らないだろうが、うちを含めて国民の大部分はこの程度のインフレにも全力で対処しなければならないのだ。しっかりしてくれよ。