tokyokidの書評・論評・日記

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日記130810・無人偵察機計画

tokyokid2013-08-10

 先の第二次世界大戦で日本が敗戦の憂き目を見たのは、ひとつには情報戦に敗れた結果であったとも言える。山本五十六大将(戦死して元帥)の南方の現地における出張計画が米軍側に筒抜けになっていたのも、日本のどこに何を作る工場が立地していたかを米軍が把握していたのも、その表れだ。近代では、戦闘だけではなく、たとえば平時の外交に於いても、正確な情報をより多く保持しているほうが圧倒的に有利であることは言を俟たない。
 前回のU−2機の記事は、具体的な情報収集の手段である、半世紀を経ていまだに現役の制式偵察機として使われている実態を明らかにしたものだ。また前々回の航研機の記事は、もう75年も前に、世界長距離飛行の世界記録を樹立した飛行機が、日本人の手で設計され、製造され、記録を残した周回飛行を実行していた事実を示したものだった。
 先月末、日本経済新聞は次のように報じた。

★中国にらみ無人偵察機を検討 防衛大綱中間報告
2013/7/26 10:57 (2013/7/26 13:04更新)
 防衛省は26日午前、中長期の防衛力のあり方を示す防衛計画の大綱(防衛大綱)の中間報告を発表した。海洋活動を拡大する中国への警戒を強め、南西諸島などでの警戒監視を拡充するため無人偵察機の導入検討を明記。北朝鮮のミサイルへの対処では「総合的な対応能力を充実させる必要がある」として敵基地攻撃能力の保有を検討課題に位置づけた。(以上引用)

 総じて日本の新聞各紙は、このニュースをコメントなしに報道していたが、なかには琉球新報のように社説で次のように述べたところもあった。

無人機導入 緊張増幅させ容認できない2013年7月26日
 防衛省は年末に策定する「新防衛大綱」に向けた中間報告概要に、米無人偵察機グローバルホークのような無人機の導入を明記した。
 導入の必要性について中間報告概要は、尖閣諸島周辺での中国による海洋活動の活発化や北朝鮮の核・ミサイル開発の高度化をにらみ「各種事態の兆候を早期に察知する能力向上のための装備の充実が不可欠」と指摘している。だが無人機導入は安易な攻撃を招き専守防衛の方針から逸脱しかねず認められない。(以上引用)

でもボクシングをするのに、誰が自分の手を一本縛って試合に臨むだろうか。情報収集と実際に武器を使って相手方を攻撃するのとは、次元が違う話である。これを混同する琉球新報の社説はおかしい。
 以前ミサイルの目標誘導装置に、日本のテレビ量産技術を応用した部品が米軍によって採用され、その結果ケタ外れの予算圧縮が可能になったと報じられたことがあった。つまり優秀な日本の民生技術が、アメリカの軍需技術を、性能でも価格でも凌駕したのである。この技術を国益のために使わない法はない。
 すべからく日本は、日本を出発して日本に帰ってくる、他国から撃墜されない、世界一周でもできる、無人の長距離高高度偵察機を開発すべきだ。かつて航研機を作り、いまやU−2という生きた教科書を知っている日本ならできる。敵を知り己を知れば百戦危うからず。実戦以前に、まず情報戦に勝つ手段を確保することだ。
 情報を得るということは、安全保障の第一歩である。情報を得たからと言って、ただちにそれを基に戦争を始める必要はない。確実な情報をもとに、外交で問題を解決に導く道もあるはずだ。情報は「敵を知る」ためになにより必要なものなのである。日本を仮想敵国視してくる国に対しては、こちらも確実な情報を得ておかなくてはならない。その上で、同盟国を動かし、国連を動かし、第三国の協力を得て、他国の我が国に対する敵対行動を留める方向に動くのが、確実な安全保障の第一歩なのである。
 それにはU−2機を改良したうえで無人化した偵察機を、そしてどんなときにも敵に撃墜されないで母港に帰投できる高高度偵察性能を持つものを、早急に独自に開発すべきであろう。写真は数々の無人偵察機群。ネットから借用。