tokyokidの書評・論評・日記

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日記130303・U−2

tokyokid2013-03-03

 この間ご紹介したランカスターという町の隣にパームデールという町がある。ここも当然宇宙・航空の町だ。この町に「ブラックバード公園」というのがあって、退役した軍用機を展示している。ボランティアが運営に当っており、そのせいか週日は休みの日が多く、その代り家族連れが訪れる週末や祭日は必ず開いている、という風変わりな公園だ。入園料は取らない。
 そこに U−2 が置いてあった。写真がそれである。U−2 は「黒いジェット機」とも呼ばれたロッキード社製の高高度偵察機で、運用開始は1957年というから、だいぶ前の話だ。それでここの展示機のなかでは、例外的にこの U−2 だけがいまだに現役なのである。アメリカはこういうところは気にせず、現用の機種でも一般に公開してしまうところがすごい。もっとも現用ということは、割合最近に生産された機体もあるわけで、それは1957年当時とは、形は似ていても、中味はまったく別物だろう。だから公開してもかまわない、という考え方のようだ。
 U−2 に関しては、身近な思い出がある。私が社会人になった直後の1959年、当時日本を基地にして活動していた U−2 が一機、故障を起こして当時の神奈川県藤沢の飛行場に不時着したことがある。このときの米軍の警備ぶりは、おおいに地元で話題になった。機体が不時着するや否や現場に MP (Military Police = 憲兵)が出動して警戒線を張り、一般人は寄せ付けなかったのだ。それほどの機体をいまでは公園に展示してしまう。この藤沢の飛行場はその後工業団地に転用されて、いまはない。
 U−2 の巡航高度は2万5千メートル。普通のジェット旅客機よりもはるかに高く飛ぶ。だから当時の高射砲では届かなかったので、世界のどこへでも飛んで行って航空写真を撮ることができた。ジェット機だが、ご覧のとおりグライダーのような翼を持っている。高高度に上がるとエンジンを止めて、滑空しながら飛行し、高度が落ちてくるとまたエンジンを再起動させて飛行を継続する。ところがこの再起動がうまく行かなくて、この飛行機が冷戦時代に一機、当時のソ連で撃墜された事件を覚えておられる方も多かろう。ピアーズという飛行士で、自殺用に持参していた青酸カリを飲まなかったことまで報道された。