tokyokidの書評・論評・日記

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日記190521・ホンダジェットと三菱MRJ

日記190521・ホンダジェットと三菱MRJ

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 自動車メーカーのホンダが自家用七人乗りのジェット小型機を作るというので、飛行機後進国の日本国民の一人としては非常に期待したものだが、ホンダは期待にたがわず、立派に仕事をしてのけてくれた。聞けば昨年の販売では、四十余機を売って、このカテゴリーで一番になったとのこと。年に四十余機といえば月に約四機、つまり一週間に一機の割合で生産・販売したことになる。それも世界に例を見ない、エンジンと機体を同一メーカーが担当するという快挙ぶりなのだ。まことにご同慶の至り。

 これに反して大会社の三菱重工では、飛行機専門の三菱飛行機という子会社を作って取り組んだにもかかわらず、最初の発売予定から七年遅れて、今年の三月三日からアメリカで型式認定の作業に入ったということだ。この認定試験を通るのは、順調にいっても一年かかるというから、型式認定が下りるのは早くて来年上旬、七年遅れの納入予定が来年中ごろというから、七年遅れてもまだ納期上の綱渡りをやっているわけだ。ホンダジェットにくらべてなんと情ないことか。国家の庇護を受けている大三菱がかつて通産省から四輪車の生産をさせまいと妨害された戦後の会社であるホンダに負けて、いい加減に恥を知れといいたい。

不祥事続きの三菱の関連会社であるからには、仕方ないともいえる状況だが、私はホンダと三菱の差を担当した人間にあると見る者である。飛行機にまったく実績のなかったホンダは一発で成功したのに、いくら中型ジェット旅客機とはいえ、戦前から飛行機作りには実績のある大三菱がなぜ飛行機にまったく経験のなかったホンダに遅れを取ったか。ホンダは一人の優秀なエンジニアに全面的な権限を与えて、スクラッチから飛行機作りに励んで成功したが、大三菱はこの点「船頭多くして船山に登ってしまった」のではないか。巷間取沙汰されている設計人に未熟外国人を関与させた、というのがもし本当とすれば、大三菱は飛行機の設計事業をなめてかかった、というほかは無かろう。現にホンダは機体のみならずエンジンも、すべて日本人設計者、それも飛行機に経験のなかったエンジニアだけで仕事をやり遂げたのだから。

じつはこの二社のほかに、スバル(旧・富士重工)もプロペラの軽飛行機を作っている。富士重工も戦前ゼロ戦を作っていた会社だから、飛行機には長年の経験がある。その富士重工が作る軽飛行機がどの程度売れているのか知らないが、世界のマーケットで主要な位置を占めているとは聞いたことがない。こんなところにも、日本政府の航空政策の無策ぶりがよく出ている。政府は無計画に滑走路が一本しかない狭い空港を各都道府県につくりまくって、それらの地域空港は活用されていないところも数多いわけだが、そういうところは、自家用機の発着に使えば使えるはずだ。それを余計な規制をかけて、企業や個人の自家用機の利用をさまたげるしか能のない官庁なのだ。一方ではダメ会社の三菱に補助金を出して、片一方では満足な飛行機を世界市場に押し出す施策もとれない行政では、いったいなんのためにわれわれ一般国民は高い税金を国に払っているのだろうか。規制緩和はどこに行ったのか。□

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