tokyokidの書評・論評・日記

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ルポ・有料老人ホーム体験宿泊記(その11)

tokyokid2008-12-10

11. 附録情報その4・熱海ニューライフ支援室(熱海市役所内・総務部行政経営課)
 熱海は東京から約100キロ、新幹線(こだま)で1時間弱、東海道線普通列車)で2時間弱のところに位置する、古くから知られた伊豆の温泉地である。三方を山に囲まれ、見渡す相模湾の向こうには初島・大島が浮かぶという温暖で知られた土地柄だけに、最近はマンションが続々と建ち、別荘としてだけでなく定住して東京に通勤する人も増えたとか。前述のごとく熱海には高齢者関連の施設も多く、熱海市としてはこれら移住者・定住者を無視することができなくなったのであろう、最近市役所内に「熱海ニューライフ支援室」ができたというので、さっそく行ってみた。
 担当者に会って来意を告げると、さっそく手渡されたのが次の資料の入った部厚い熱海市役所の紙袋であった。市役所受付でもらった資料と併せると中味は下記のとおり。
熱海市勢要覧2002】「チェンジ熱海」の副題がついている良質紙A4・52頁全編カラー印刷の堂々たる「市勢要覧」だが、訪問した2008年9月に2002年版の資料を配布するところは役所特有の鈍感さというべきか。
【平成20(2008)年度施策の方向】A4・30頁の簡易印刷のいわば熱海市の「施政方針演説」。記載内容は項目ばかりで実施細目や行程表の記載はなく、典型的な役所の印刷物。
熱海市観光基本計画・2008年1月発行】A4・6頁の簡易印刷で熱海市の観光ビジョンが説明してある。基本計画のあとに実施項目も記載してあるのは評価に値するが、行程表はついていない。
【平成20(2008)年3月市議会定例会市長施政方針】A4・6頁の簡易印刷でこのときの市長の施政方針演説が記載されている。日本国首相の方針演説の新聞記事と同じで、演説内容がづらづらと列記してあるだけで、解説記事はない。したがって全容をつかむには最初から最後まで読み通すしかないという厄介なしろもの。
熱海市不動産物件情報提供システム】A4・2頁の単なるゼロックス・コピー。熱海市内の不動産業者56社の取扱不動産物件資料を市が提供するということだが、市は単なる情報の提供を行うだけで取引に一切タッチしないのはもちろんのこと、提供された情報や物件についてもなんら保証も補償も保障もしないのであるし、個々の不動産会社は独自の宣伝を展開しているのであるから、これは単に屋上屋を重ねただけのムダな努力である。
【熱海で遊ぼ】これは熱海駅の観光案内所でも無料配布している熱海市内のレストランなど75軒の商店街作成の紹介パンフレットであるが、これは意外に実用性があった。ただし飲食店関係の店の紹介がほとんどで、ホテルや日用品を扱う店は取り上げられていない。
【熱海温泉・観光のご案内】これも大判一枚ものの観光パンフレットであるが、ホテルや旅館、また観光地の案内に便利な情報源だ。前項の飲食店情報と併せ活用できる。
【New discovery of アタミ】A4を一回り小さくした32頁の観光案内。これも熱海を紹介する一種の印刷物であるが、総花的に温泉や地域や旅館などを地図付きで紹介している。
【住まうまち熱海】A4・8頁の前面カラー印刷物で、発行元は熱海市役所ニューライフ支援室である。内容は単なる抽象的な熱海移住礼賛で、具体的な市の移住対策などは書いてない。移住してくるのは高齢者だろうから、移住したら体力の落ちた高齢者としては熱海でいったいなにができるのか、アクティビティの施設はどんなところがあるか、そこではどのようなグループが活動しているか、市内に誰でも使える有料なり無料なりの公共の集合施設や場所やスペースがどれだけあるか、市内に図書館はあるのか、そういった情報は一切書かれていない。小さなコラムで「充実した医療施設や診療体制が日常の暮らしに安心感・総合病院と病院が6施設、医院・診療所が37施設、歯科医院が25施設」と書かれているが、その一覧表すら書いてない。徹頭徹尾ムードだけの情報提供であり、実用にはならない印刷物である。
【その他のパンフレット類】上記のほかに、病院や文化施設がそれぞれつくった印刷物が6種類ほど入っていた。
 率直にいうと、役所の仕事というのは目標が数値で説明されておらず、努力目標さえ記しておけばそれで仕事が終った感がある。もちろん実際に仕事を担当している市役所内の部や課では、PDCAサイクルに基いて仕事の目標が定められ、手順が決められ、実際に作業が進められ、次の計画が策定していくのであろうが、広報資料にはそのなまなましい経過がほとんど出てくることはない。これが私ども外部から役所を窺うものとしては、大いに物足りない点であり、本質的に欠落している部分である。□