tokyokidの書評・論評・日記

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日記180601・第三の必読書

tokyokid2018-06-01

日記180601・第三の必読書
 今回、これはひどい、という本を取り上げる。大げさではなく国の存亡に係る根本の話だ。先日「必読二冊」として「日本中枢の崩壊、古賀茂明著、アルファ新書」と「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇、ケント・ギルバート著、講談社」を挙げたが、残念ながら読者諸賢の注意を惹かなかったと見えてなんの反応もなかった。これに懲りずきょうはもう一冊、「現象警官「裏金」内部告発、仙波敏郎著、講談社」を挙げたい。その後読んだわけだが、これは容易ならざる日本の人材のメルトダウンを象徴している事例だと思うからだ。
 この現職警官による内部告発の本は、われわれに現状日本の問題点がいかに根深いかを考えさせる。以前私も「警察の裏金」という言葉を何回か聞いたことがある。そのときは、単にどこかの警察署で誘惑に駆られた警官が個人的に裏金を作ってネコババしたのだろう、位にしか思っていなかった。その後ある警察署で何人かの警官が参加して裏金をプールして自分らが使う野球の道具を買ったと報道されたときでも、それは一警察署内のことだと思っていた。その見方が見事に裏切られて、ことは「警察組織全体挙げての巨額な裏金作りとそのカネの行先」について、内部の警官が「自分は警察官であるから法律に違反することを知りながら実行することはできない」として告発したのがこの本である。この本によれば、ごく一部つまり全警察官のうちで数人だけがこの裏金づくりの悪事に加担することを拒んで、その結果出世の道を封じられているというが、ことはそれだけで済む簡単なものではない。これは全国の警察を巻き込んだ組織犯罪であると言わざるを得ない重大な法律違反なのである。まして作った裏金の使途が本書に書かれているとおり警察内部のエライサンの退職餞別に使われているとしたら、これはもう中国のワイロ社会を笑う段の話ではない。日本の地盤沈下を示している以外の何物でもない。詳細は本書に譲る。
 この本を読んで思うことは、もはや日本人の資質は地に墜ちた、ということだ。戦後すぐ「自分は公務員であるからヤミ食料を食うわけには行かない」と言って餓死した判事や、「メザシの土光さん」や「社用車を断って電車通勤を貫いた複数の社長さんたち」がいた。もうこれらの時代に戻ることはもはやできないのだろう。つまり日本の正義感と人材は払底してしまったのだ。
 似たような事例はほかにもいくらでも挙げることができる。衣食足りて、むしろムダにするほどモノが溢れ返って、却って人の心はすさんでしまった。これなら戦後すぐのモノのなかった時代の人のほうがよほど、はるかに輝いていたということだ。□
(写真はネットから借用)