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日記180111・いまどきのおせち料理

tokyokid2018-01-11

日記180111・いまどきのおせち料理
 正月がくるたびに思うことがある。おせち料理のことである。昨年も同じ主題で嘆きのセレナーデをお聞かせしたばかりだがもう一度嘆いておみせする。
 昔は母親が前年の暮れになると、自分で材料から買い出しをして家族のためにおせち料理を自分で作った。自然作る人の好みや出身地によって味に凹凸があった。でもそれがその家族の味だったのである。
 戦後も前の東京オリンピックが過ぎた頃になって、おせち料理も仕出しでとる家庭が増えた。デパートや有名レストランやホテルのみでなく、いわば食品業界全体がこのマーケットに参入してきた。その結果、いままでの家庭料理には見られなかった豪華なおせち料理が出現した。豪華なだけではない。素材も肉や魚が多用されるようになった。それも尾頭付きの豪華さである。最近の塩と脂を控える傾向も取り入れられた。全体が薄味になったのである。
 その結果通販で買うおせち料理は、従来の家庭で作ったおせち料理にくらべて、日持ちが短くなった。従来の正月中は主婦を休ませるための長持ちのする料理つまり保存食糧から見る目の豪華さだけを競ったプロ料理人の均一的な料理に変ってしまった。プロの料理人に作らせれば、自然豪華で売り上げも利益も見込まれる料理をつくる。それは家庭の母親の愛情の詰まったおせち料理とは似て非なるものだ。つまり各家庭の特徴の味は失われてしまった。日本から重要な家庭の味がひとつ失われてしまったのである。また日本の文化が持っていたよき伝統がひとつ失われてしまった。いまでは野菜中心の従来型のおせち料理を売っているところを血眼で探す始末である。あーあ、だなあ。□
(写真はネットから借用)