日記170211・懐中の汁粉が救う寒稽古
日記170211・懐中の汁粉が救う寒稽古
★懐中の汁粉が救う寒稽古(謝)
題名にもあるこの句は、ある人の川柳句である。読者諸賢は「懐中しるこ」や「寒稽古」の意味はとうにご存じだろうが、今の若い人たちは、懐中しるこを味わったことがあるのだろうか、はたまた剣道や柔道などで正月の初稽古で、お供えの鏡餅を割って汁粉に入れたものを車座になったみんながふうふういいながら味わう、といった経験を持つ人はどれほどいるのだろうか。たとえば戦後の昭和の昔でも、所轄の警察署には剣道教室や柔道教室があって、そこに通う子供は大勢いたものだ。いまでもあるのだろうか。
ラーメンに代表されるインスタント食品は、戦後になって初めて開発されたと思っている人が多いかも知れないが、それは違う。懐中しるこは戦前からあった。紙袋を開けてお椀に移して切餅を載せて、熱湯を注ぐだけで即席の汁粉ができるこの懐中しるこはずっと以前からあった。日本人の先祖は、ぬかりなくインスタント食品も開発していたのである。
寒中に朝早く起きて道場の稽古に通う。稽古が終ったあとで、熱い汁粉をふうふういいながらすすり込む。身体が温まること請合いで、寒中にこれに勝るご馳走はない。稽古仲間と顔を見合わせて満足の視線を交わす至福のひとときだ。この句は昔者の私に、昭和の昔を思い出させてくれた。□(写真はネットから借用)