tokyokidの書評・論評・日記

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日記161111・トランプ大統領

tokyokid2016-11-11

日記161111・トランプ大統領
 ついに冗談からコマが出た。当初泡沫候補とみられていたトランプ氏がアメリカの大統領に当選したのだ。よかれあしかれ、数々の放言で言いたい放題を続けてきた同氏が、現実に大統領職についても、方言の内容を実現すべく突進するのだろうか。
明年早々大統領職を引き継ぐことになるから、日本に対する風当たりは強くなるだろう。一番の問題は、防衛費の負担を増額するように求められることではなかろうか。現在防衛省の予算は5兆円ほどだが、もしアメリカ軍が撤退して、そのあとを日本が埋めるとなると、総額25兆円が必要になるとの試算もある。いま国家全体の年間予算が100兆円ほどだから、じつに4分の1の予算を防衛費だけで食ってしまうことになる。そのためには社会保障費を削らなくてはならないばかりではなく、年間予算の13年分を超す国と自治体の大借金も問題になるだろう。いま世界にはカネがダブついているから低い金利だが、もしこれが1%でも上がるようになったとすると、支払金利は莫大なものとなる。そんな負担に日本国民は耐えられるのだろうか。
 トランプ氏が大統領になると、日本と違って主要な省庁の幹部が入れ替わるアメリカのシステムにあっては、現職大統領の腕が強力に振るえるようになる。ここが官僚天国の日本と大きく異なるところだ。トランプ氏は実際に自分の信念に従って、施策を次々に自分の思うところに引っ張っていくだろう。問題は今回の選挙中から、トランプ氏個人の見解に反対の意を示してきた、従来の共和党エスタブリッシュメント幹部がどこまでトランプ氏の施策に関わるか、または関わらないか、だ。これら幹部の協力がなくても、新大統領のトランプ氏はみずからの施策を推進できるとなれば、これからの4年間は日本にとっては非常に厳しいものになるだろう。ついこの間、英国はEUからの離脱をめぐって国民投票を行った結果、離脱が決まった。離脱が決まったら、離脱派の指導者だった人は、首相になるのを避けてさっさと逃げてしまった。EUやひいては世界は英国の動向に振り回されて混迷の度を深めたわけだが、アメリカとトランプ大統領はその轍を踏まないだろうか。いずれにしても、いま日本の人材難は目を覆うばかりだ。政治家にしろ実業家にしろ、かつての山本権兵衛原敬吉田茂高橋是清土光敏夫本田宗一郎盛田昭夫はいないのである。これから4年間、アメリカから日本に向かって吹く風が、それほど強くならないことを祈るばかりである。
 話は代るが、明治19(1886)年に英国人のバーネット夫人が「小公子」という児童小説を書いた。日本では早くも明治23(1890)年に若松賤子の訳がある。この中に小説の主人公であるところの「小公子セドリック」がアメリカの大統領選挙について描写しているくだりがある。現在と同じ共和党民主党がそれぞれ候補者を立てて、派手なお祭り騒ぎの選挙戦をニューヨークで繰り広げられているさまが延々と描かれているが、ようするに、明治23年には、一般の日本国民でも、太平洋の向うのアメリカの大統領制度についてそれなりの知識を有していたことだ。これは驚くべきことではないか。最後に私自身の予測を言えば、今回トランプ氏を支持して投票した多くのアメリカ人低所得者層の人たちは4 年後にその期待を裏切られることとなるだろう。金持ちのトランプ氏に貧乏人の苦労が理解できる訳はなく、また失業者に必要な職を与える処方箋がこの世に存在する筈もないからだ。□(写真はネットから借用)