tokyokidの書評・論評・日記

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日記151120・US Cars 40&50, Packard

tokyokid2015-11-20

くるま151120・US Cars 40&50, Packard
 この時期に消えていったブランドに Packard がある。 愛惜の念を込めて紹介しておこう。Packard はアメリカ車の高級ブランドで、最盛期には Cadillac や Lincoln をもしのぐ高級車と目されていた。この会社は徹頭徹尾  Packard 一車種しか生産しなかったが、会社が左前になってから Studebaker と合併し、場所も Detroit, Michigan から South Bend, Indiana に移って消滅した。いえば高級車の Packard と大衆車の Studebaker の合性はよかったはずだ。でもこの頃の集約の波は、こんな弱小メーカーなど吹き飛ばしてしまったのだろう。辛うじて後年 Jeep だけが変転の末 Chrysler に吸収されて今日に至るまで生き延びた。
 Packard は1899年型から販売され、1958年型が最後のくるまであった。デザインは写真でご覧のとおり堂々たるもので、エンジンもそれにふさわしい直列8気筒を積んでいた。私はこの1956年型を手で洗車したことがあるが、それはそれは大きな車体で、バケツの水がほかのくるまの2倍くらい必要だったのを覚えている。この頃はさすがの Packard も(直列8気筒ではなく) V8 エンジンを積んでいたように記憶する。いまから思えば、ボンネットを開けて確認しておけばよかった。
 面白いことに、この会社は第一次世界大戦のときから、航空機用や舶用のエンジンを生産して軍に供給していた。1914(大正3)年から1918(同7)年までの第一次世界大戦のときは、Liberty Engine と称する V12 のエンジンを作って、航空機用・舶用として供給していた。このエンジンは1920年代に、かずかずの記録を作った当時の優秀なエンジンであった。我が国関係で有名なのは、1941(昭和16)年から1945(同20)年までの第二次世界大戦で、米軍が太平洋で広範に使用したやはり V12 の舶用エンジンで Merlin Engine と名付けられていた。これはPTクルーザーという戦闘用小型ボートのエンジンとして使用され、大きな成果を収めた。PTクルーザーはつまり海の Jeepであったわけだ。だから日本軍はこの小型ボートに散々「してやられた」のである。この会社は自動車メーカーとしては異例のジェット・エンジンも開発したというが、さすがにこれは中途で他社に売却されたようだ。
 読者諸賢も先刻ご承知のように、第二次世界大戦の戦前の自動車メーカーは、こうして戦後に淘汰され、消えていったメーカーが多かったのである。結局 GM、フォード、クライスラーのいわゆるビッグ・スリーに集約されていった。淘汰されたうちから高級車メーカーの Packard をご紹介してみた。写真はすべてネットから借用。