tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

日記150301・食べもの春の便り

tokyokid2015-02-28

 スーパーの成城石井に行ったら、メキシコ産のオレンジ蜜を売っていた。ひと瓶500gで1150円であった。包装の出来からみて、おそらく成城石井は蜜をバルクで輸入し、日本で個別包装に仕立てたものと思われる。なかなかにいい出来であった。値段も思ったより安い。
 メキシコと国境を接するカリフォルニア州、それも現地の日系人が「南加」と称する南カリフォルニアは、年中紺碧の空、冬でも平地では雪も降らない温暖の地であるが、そこにも春はやってくる。その使者がこのオレンジの蜜なのだ。果物のオレンジの花から蜜蜂が集めた蜜は、この時期に市場に出回る。そして夏にかかる頃はもう姿を消してしまう。われわれはこの時期、週一回、定まった場所で開かれる「ファーマーズ・マーケット」と称する地元の農民がそれぞれの収穫物を持ち寄って開かれる臨時の売店でこの蜜を買う。もちろん現地ではもっと安かった。
 オレンジ蜜はほかの蜜と違って、甘さが日本人の舌には適当で、粘度もそれほど高くないので、瓶の口からさらりと出てくる。紅茶に混ぜたり、トーストに塗ったり、ヨーグルトにかけたりと思い思いに気楽に使える、この時期だけに姿を見せる、いい味わいの蜜なのだ。
 さてこのメキシコ産のオレンジ蜜は、人生の長い間を南加で過ごした私の舌に、はたしてうまくカリフォルニアの春の香りを思い出させてくれるだろうか。