tokyokidの書評・論評・日記

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日記130705・菜飯田楽

tokyokid2013-07-05

 菜飯田楽は、池波正太郎の小説などで出てくる、江戸時代からの庶民のご馳走である。もっともいまの「チーズカレーライス」や「うなぎ牛どん丼」などの得体の知れない料理がうまいと思う若い者には、素朴な菜飯田楽の味わいは評価されないだろう。
 いまは都内の食堂でもまず見掛けることのない和食だが、愛知県豊橋駅の食堂で、この菜飯田楽をみつけた。豆腐と味噌ですらご馳走であった時代の、よそゆきのご馳走というものはこうであったかと、襟を正す思いで食べた。
 いまの飽食の時代からは、想像もできない一汁一菜の素朴な味のご馳走であった。現代のことであるから、いまはいくつか付け合わせがついている。自分で菜飯を作るときは、新鮮な大根の葉があるときに限る。刻んで塩もみして、炊きあがったあつあつのご飯に混ぜるだけのことだ。ただいまどきの八百屋は、大根の葉を落として売るから、そこが難しい。入手困難なのである。
 江戸では、簡単な漬物は「香の物」と称して、おかずの数に入れないことを通例とした。写真はその菜飯田楽の膳。