tokyokidの書評・論評・日記

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日記120905・キムラヤのあんぱん

tokyokid2012-09-05

日記120705・キムラヤ(木村家)のあんぱん

 写真はいまも使われている、銀座のキムラヤ(木村家)のあんぱんの包装紙、というか、店で商品を入れてくれるレジ袋の一部である。
 デザインが昔のままで、そこはかとなく昔の風情があり、あんぱんを日本で初めて商品化したという店のプライドも匂い出てくる。印象として桜色の模様が効いているが、最初に売りだしたあんぱんの「へそ」には、ひとひらの桜の花びらの塩漬けで飾られていた、という話を聞いたような気がする。真偽のほどは保証できないが、ほんとうだとすれば、昔はあんぱんひとつでも奥床しかったのだなあ。
 このデザインをみて、昔こどものころに住んでいた家の押入れを全部開けて掃除したときに、壁面全面に貼ってあった新聞紙の広告に見入ったことを思い出した。昭和ヒトケタの頃の新聞だったが、いまはなくなってしまった「星製薬」や、いまも盛業中の「資生堂」や、化粧品の「パピリオ」なんていうのもあった。
 ちなみに星製薬の、世が世であれば御曹司であったが先般世を去ったショート・ショート作家・星新一が書いた文庫本「人民は弱し 官吏は強し(新潮文庫)」を読むと、どうやって新進気鋭の私企業であった当時の星製薬が官吏によってつぶされたか、そして日本の官吏機構はいまも昔も、あれだけの敗戦という未曽有の大変化を経験しながらも、本質はちっとも変わっていないことを知ることができる。往時を少なくとも幼児体験として覚えているであろうところの小沢一郎が「反官僚」であるのも、なるほどとうなづける。
 自分がこどもだった頃、市電が縦横無尽に走っていた東京の、戦前の昭和の時代が、ただただ懐かしい。□