tokyokidの書評・論評・日記

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論評・EWJ「四字熟語」コラム・一暴十寒

tokyokid2011-04-22

(二)「一暴十寒」(いちぼうじゅっかん)
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 なにごとも続けてやらなければ効果は薄い、ということ。出典は「孟子」。「暴」は「曝」のことで太陽にさらすの意。つまり植物を一日だけ陽だまりに置いてもあとの十日を日陰に置けば、育つ植物も育たなくなるので、前述の意味となる。転じて「一日勉強して十日怠けることのたとえ」にもなる。
 その通りなのだが、いまどきのわれわれの日本語知識で「一暴十寒」と字面だけ眺めて植物の生育の話と結びつけられる日本人がどれだけいるだろうか。最初に読んだとき、筆者などは「一暴れすれば身体は温かくなるはずなのに、十も寒くなるとはどういうことか」と考え込んだものであった。でも勉強するほうのたとえは「いつも怠けているヤツが一念発起して火事場のバカ力を発揮し、あとの(十)日は寝ているものだ」と解釈すれば、当たらずといえども遠からずなのかも知れない。
 話は変わるが、反復作業というのは退屈なもので、男はこれに弱い。単純作業だが内容は重要であり、しなくてはならない作業だということが分かっていても、男は退屈にガマンできない。工場の生産ラインなどで半製品の品質検査をしているなどの場面では、自分が作業しなければ他人さまに迷惑をかけるのでいやいやながら作業を続けることになるが、事務所で膨大な書類の整理をしているときなどは、ちょっと外にタバコを吸いにでたり、近所の喫茶店にシケ込んだりと、男は至ってこういう単純作業の生産性がわるい。これに反して女はマジメで繰り返し作業に強く、誰かが監視していなくても、黙々として膨大な単純作業をこなし、結果をキチンと出す人が多いようである。生産ラインでも経理事務でも、細かい作業が連続するこうした場面で女の仕事の信頼性がいかに高いか、身をもって体験している人は多いはずだ。女は身体が男に比べて小さいから、ある場面で一挙に力を出すことはあまり期待できない。その代わり、繰り返し作業に強いのは前述のとおりである。反面男は瞬発力にすぐれているので、火事場のバカ力のような場面では活躍することになる。しかし当然のように、場面場面ではそれほどの力を必要としないが繰り返して作業する必要があるような場合には、きわめて頼りにならない存在なのである。歴史が教えるとおり、やはり男は外で獲物を捕らえ、女は家で料理その他の家事をする期間が長かったから、こうなったのであろう。
 このことは人種間の特徴にも表れているようで、指導力・集中力を発揮するのが得意な白人種はとかく繰り返し作業はあまり得意でないらしい。これは彼らが狩猟民族といわれることと無縁ではないのかも知れない。これに対して、農耕民族といわれるわれら有色人種は、とかく一発勝負に弱く、その代わりコツコツと改良作業に励むのは得意だ。つまり身体が大きい者は、場面に応じて発揮する瞬発力が大きいので勢いその性向に頼ることが多いのに反し、身体の小さい者は本能的に体力を消耗しない軽作業を連続して仕上げることで身体の大きい者に対抗しようとしているのでは?
 継続は力なりというが、そのような言い回しはほかにもたくさんあることを思えば「続ける」ことがどれほど困難なことが、多くの人によって認識されているのだろう。ましていまのように社会が複雑になり、管理方法も新しいやり方が開発されていわゆる管理社会ができあがってきたからには、毎日コツコツと作業を続けることがより重要なことであり、火事場のバカ力でしのげるようなシチュエーションはだんだん減ってきたのだ。女が男より強くなったのは無理もない。□