tokyokidの書評・論評・日記

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日記150208・オペラシティ!ニッポン文化国家!

tokyokid2015-02-08

 新宿から私鉄の京王線が出ている。東京と八王子を結ぶから京王線だ。この線には用事がなくて、過去半世紀にわたって乗ったことがなかったように思う。それが知り合いのオペラファンと初台でメシでも食おうということになって、京王新線で新宿の次の初台駅に行ってみて仰天した。なんと日本も世界の文化国家の仲間入りをしたのではないだろうか、と一瞬誤解したほどだ。
 京王新線とは、従来の京王線と別に笹塚まで地下鉄相互乗り入れの線が走っている線のことだ。つまりこの新線は新宿を出ると初台、幡ヶ谷の先の笹塚で従来の、というか本来の京王線に合流するので、この区間はなんといっていいのか、そこで京王新線となったらしい。この部分は地下鉄と相互乗り入れを行っている。日本はせまいから、駅にしても線路にしても充分な土地を手当てすることができず、線路そのものを二階建てにするなどして、こうした苦心の作ができたのであろう。それも1980年というから、もう30年以上も前の話なのだ。それを知らないで今日まで過ごしてきた江戸っ子などは、おこがましくて江戸っ子を返上しなくてはならない。謝りました。
 で初台駅は、これぞ日本が文化国家として誇り得る「オペラシティ」と「新国立劇場」ふたつの大劇場に行くために存在するような駅なのだ。写真を見てほしい。初台駅の二つの改札口はそれぞれふたつの文化国家・ニッポンの大劇場に直結しているのだ。あれまあ。でも公演のない平日の昼間はご覧のとおり通行人も少なく、ガランとしているね。
 今回はまずオペラシティの紹介に的をしぼるが、地上54階建てのこのビルには特徴がふたつある。駅からオペラシティ劇場と付属の事務所ビルの案内板が不備でわかりにくいこと、それとふだんはガランとしてせっかくの設備が活用されていないらしいことだ。このふたつの理由だけで、わたしはこのハコモノを見て「ニッポンが文化国家」であることに疑問符をつける。そう、これは役人のメンツのために作られた壮大なハコであって、日本の庶民のために作られた施設ではないらしい、ということだ。それがなにより証拠には、近くの下北沢には小劇場がいくつもあって、そこで芝居好きが芝居をしている。そういう人たちはどうして設備のととのったここの併設の小劇場だか中劇場を使わないのだろうか。じつは使用料が高くて使えないのではなかろうか。やっぱり日本は文化国家なんかではなくて、役人国家なのだということを再認識させられた壮大なハコモノ・初台のオペラシティであった。ひとつ面白いのは、この敷地内に渋谷区と新宿区の境が走っているらしいことで、こうした協同作業は役人をかませればスムースにできる、という見本でもあろうか。