日記190911・食器は食欲を左右する
日記190911・食器は食欲を左右する
食器は食欲を左右する。特に日本の料理はそうだ。いかにうまいものでも、いい加減な食器に盛って食卓に出されたのでは興ざめだ。最近の日本人は、そのことを忘れかけているのではないか。
蕎麦はせいろで出すのが正統だ。うなぎは重箱かどんぶり、これは出される食器で格が違う。寿司は桶か重箱だが、これは握りかちらしかの種類による。握りは桶と言ったが、これは出前の場合であって、店で客に供する場合には大皿がふつうだろう。桶にくらべれば陶器は手入れが格別に簡単だから、これは許せる。
食通の池波正太郎は「蕎麦を民芸風の大皿に盛って出されると食欲を失う」と言っている。蕎麦はやはりせいろに盛りつけて出すべきものだ。もちろんこれはざるそばを含むもりそばに限ってのこと。
ならば蕎麦屋でもすなる天丼、かつ丼、親子丼のたぐいはどうか。丼というからにはどんぶりで出すのが当り前と思うが、最近はこれを皿で出す店が増えた。女子供ではあるまいし、大の男が丼物を皿で食えるか。もっとも定食として、飯、汁、天ぶらなら天ぶら、それに香の物など、分けて供するものは別だ。ここでは丼物を皿に盛って出すことを論じている。
日本人は自分たちの文化を大切にしない。日本料理から食器つまり皿小鉢に至るまでの食べ物を入れる容器をいい加減にしたら、日本料理の味がすたる。きちんと伝統を守ってもらいたい。□
(写真はネットから借用)