日記161201・ホンダは1000を見直せ
日記161201・ホンダは1000を見直せ
ホンダは 1000cc の乗用車のクラスを見直すべきだ。本来日本では、660cc の軽自動車の市場は活発であるが、1000cc のクラスは手薄だ。軽自動車の規格は奇形ともイビツともいえるもので、積荷と運動性能を考えた場合、本来の自動車の最低の排気量の規格は 1000cc であるべきで、660cc ではないはずだ。まだ世界で誰も確立していないこの乗用車としての最低限度の大きさを実現して、なおかつ世界標準のくるまをホンダに作ってもらいたい。もし成功すれば、同社の軽自動車のひとつ格上の普通量産自動車を形成することができよう。
過去このジャンルでは、多くのメーカーが取り組んだことがあった。三菱コルト、マツダ・ファミリア、ダイハツ・コンパーノなどがそれで、一部はいまでも綿々と続いているとも言える。続いてはいるが、このジャンルを確立したとはとても言えない。ここは乗用車の最低限度の規格であるから、開発の得意なホンダにぜひとも日本車のこのジャンルを確立してもらいたいと思うのだ。その手本はすでに存在する。1959年に発売された、イシゴニスの設計になるミニがそれだ。だが英国で開発されたこのくるまは、その後ドイツのBMWに売却され、その後モデルチェンジを繰り返していまでは日本の3ナンバー規格のくるまになってしまった。これでは「ミニ」ではなくて「マキシ」だ。じつはホンダ自体も、本田宗一郎指揮下で同社最初の量産型乗用車として1967年に N360 を発売して大成功を収めている。これは当時の軽規格に合せた空冷2気筒、360ccのエンジンを載せた4人乗りの乗用車であった。N360の「N」は、宗一郎が命名した「乗物」のNだったという説もある、当時の傑作車だった。
ホンダはこの新1000ccクラスで、大人4人がゆったりと乗れ、そこそこの運動性能を備えてそこそこの荷物も積むことができ、現代のくるまであるからエアコン、ナビなどの最低限度の快適装置を標準装備したくるまでなければならない。近い将来、自動運転も必須アイテムになるかも知れないので、そういう先進技術にも対応してもらいたい。いま販売されているアコードやグレースなど、小さなエンジンを用いた高価なトランスミッションを排したハイブリッド車を実用化したホンダであってみればなおさら期待が高まる。過去に日産のダットサン1000やサニー1000など、三菱800など、このジャンルの傑作車があった。これが後出しジャンケンのトヨタ・カローラ1100に「プラス100の余裕」のキャッチコピーでしてやられて以降、1000cc車は委縮してしまった。ホンダには、そこをいまの技術で解決し、新1000ccジャンルを開拓してもらいたい。同社の量販を支える重要車種を形成できるだろう。
ホンダには、新しいくるまを新しい技術で開発する力がある。ハードとしての新1000cc車の開発はさほど難しくないのかも知れないが、問題は同社の販売力のなさだ。前述の新機軸を取り入れたカローラは、トヨタのクラウンを凌ぐ傑作車だと思うが、同じ機構のグレースともども、ほとんど売れていない。同社はかつてのトヨタ販売の神谷正太郎や日産の片山豊のような、販売に長けた人物を発掘してもらいたい。□(ミニ、ホンダN360、三菱コルト1000、マツダ・ファミリア、ダイハツ・コンパーノの写真はネットから借用)