tokyokidの書評・論評・日記

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日記151212・梅わかな丸子の宿のとろろ汁(芭蕉)

tokyokid2015-12-12

日記151212・梅わかな丸子の宿のとろろ汁(芭蕉
 何か月か前に静岡駅構内でとろろ汁を食った。新幹線改札口を出てまっすぐ進んだ飲食店街のなかにある、麦飯でとろろ汁を食わせる老舗(写真)である。
 さすが老舗だけあって、店内の装飾も程よい。ゴテゴテした余計な装飾がないのがいい。そして芭蕉が作った「梅わかな丸子の宿のとろろ汁」の句の色紙が壁にかかっている。自分の商品の宣伝も、おさおさ怠りないわけだ。でもここは「丸子」を正式に「まりこ」と読んでもらいたいなあ。でないと、東海道五十三次の「丸子の宿」つまり「まりこのしゅく」の風情が台無しになる。
 出てきた「とろろ汁」がまたいい。着物にたすきを掛けてテキパキと出してくれたおかみさんの応対もいい。麦三米七の麦飯がなんとも程よく、白米ばかり食べ慣れた舌触りに新しい刺激と感触をもたらす。たっぷりとダシの効いたとろろ汁がいい。江戸では欠くことのできない「おしんこ」もまたいい。むかしむかし、うちのおふくろさまが作ってくだされた、往年の我が家の「非日常のゆえに家族ごはんのごちそう」だった「とろろ」とどっちがよかっただろうか。昔はとろろ汁くらい、家で作ったものだったが、最近はトンと見なくなった。
 俳諧芭蕉に負けず、川柳の私も一句。いや下手なんだからおまけで二句。
 ★相方と舌もなめらかとろろ汁(謝楽斎)
 ★すり鉢がなくて作れぬとろろ汁(謝楽斎)
こうして横書きで読む俳諧や川柳というのも、妙なものですな。ところで見出しの写真、どうしたものか横倒し。これを訂正することができません。だからコンピュータっていやだ、ってんだ。