tokyokidの書評・論評・日記

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日記151016・US Cars 40&50, 1950~54 Models

tokyokid2015-10-15

くるま151016・US Cars 40&50, 1950〜54 Models
 アメリカ車の1650年から54年といえば、昭和25年から29年にわたる。日本の敗戦は1945(昭和20)年であったから、このころはまだまだ戦後間もないころであった。アメリカとても、勝ったとはいえ三年半越しに日本やドイツ・イタリアと戦争をしていたわけであったから、民需の自動車は後回しで、日本などの「枢軸国」に勝つための準備に忙殺されていたわけだ。一方アメリカ車のスタイリングが戦後型として花開くのは、次々回に詳解する 1955 年型からのことであるから、この時期は戦前型と戦後型の端境期といってもいい。多くのくるまはまだ戦前の型を引き継いでおり、一方戦後の新型が市場にボツボツとお目見得してきたのがこの頃のことなのだ。
 写真は年代順に並べてあり、下記のとおり。
1. 1950 Nash Statesman
2. 1950 Studebaker Starlight
3. 1951 Chevrolet Fleetline
4. 1952 Chevrolet Stytline
5. 1952 Kaiser Fraiser Henry J
6. 1953 Cadillac El Dorado
7. 1953 Studebaker Commander
8. 1954 Chevrolet Bel Air
9. 1954 Mercury Sun Valley
さすがアメリカ車。いずれも堂々たる大型車だが、当時は一回り小さな中型車はあっても、アメリカ車に小型車はなかった。19世紀末に自動車が発明されて、それからどんどん進化したわけだが、技術的にはまだ小型車を作るだけの集積も、それから需要もがなかった時代であった。自動車は一家に一台の時代であったのであり、だから大型車のなかで、お金持ちを意識した「高級車」と、庶民の使用を前提にした「量産車・大衆車」が併存していたわけだ。もちろん中間層を狙った「中級車」も作られていた。どれも大きさには大差がなく、いまのセグメントでいえば大型車に属する堂々たる車体であった。この頃生産されていたアメリカ車でいうと、高級車として知られていたくるまが Packard, Cadillac, Lincoln, Chrysler であり、中級車が Buick, Oldsmobile, Pontiac, Mercury, DeSoto, Nash, Hudson, Kaiser, Studebaker などであり、大衆車が Chevrolet, Ford, Dodge, Plymouth, Fraiser という色分けであった。ここで解説を要するのは、この頃のアメリカ車は押しなべて車体の大きさが大きく、中級車といえども車体の大きさはせいぜい高級車をほんの少し小さくしただけであったことだ。だからたとえば、上の例からいうと、中級車に分類した Studebaker よりも、大衆車に分類された Chevrolet のほうが車体は大きい、といった矛盾も生じていたのである。さらにいえば、高級車・中級車・大衆車の区別は車体の大きさによるものではなく、快適設備の有無によるところが大きかった。この頃にはまだエアコン付きのくるまはなかったか、あっても非常に珍しいくるまであった。もっともアメリカ車のオートマチック・トランスミッソン搭載は非常に早く、記憶では1938年型のポンチアックくらいが初搭載していたと思う。当時日本では自動車の運転免許証を保持している人自体が非常に珍しかったが、アメリカでは女性でも運転免許証を持つ人が増えて、そのため力が要るクラッチによるギアの切り換えが女性にはむずかしかったのがその理由であると思われる。またその頃ボツボツとラジオとヒーターが常備されつつあった記憶がある。いまのように自動車にマイコンなどはついておらず、電気関係といえば、鉛電池とそれを使ってエンジンを動かすためと照明のわずかな電装品しかついていなかったから、当時自動車といえば機械の塊だったのである。
 写真の5番目、Kaiser Fraiser Henry J について説明しておこう。 Kaiser 社のくるまであるが、同社のラインの中の車格としては Kaiser が高級で大型、Fraiser が大衆向けで中型、という振り分けであった。前回解説した当時の中日本重工すなわちいまの三菱重工が提携してノックダウン生産をしていたのは、じつは写真の Henry J なのであって、このくるまは当時のアメリカ車では小型車と呼ばれた。内装と備品もとても簡素なくるまであったのが記憶に残っている。ただし写真の Henry J はどこぞのフリーマーケットで撮られたくるまと見えて、明らかにシャコタンの改造車である(この写真はネットから借用)。それにしても当時の Studebaker のスタイリングは、巨大メーカーのフォードやGMをはるかに超えて革新的だったなあ。