tokyokidの書評・論評・日記

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日記150712・いまさら大阪都構想

tokyokid2015-07-12

 余りに惜しい結果だったので、今回は敢えて死んだ子の齢を数えてみる。ついこの間、大阪市で投票があり、橋下市長提案の「大阪都構想」が否決になった。賛成票は70万余票、反対とは1万票差だったというから、全投票者数140万人で差が1万人という稀に見る接戦だった。
 で、巷間伝わる噂では、この僅差による反対派の勝利は、自民党を始めとするいくつかの政党が、高齢者に対して「この法案が通ると、高齢者に対するバスの無料パスが廃止されるよ」と説いてまわったのが、効果を発揮したというのだ。私自身は大阪市にこの無料パスがあるかどうか知らないし、そのこと自体に特別な関心はない。
 言いたいことは、もしこれが本当だとしたら、日本人の心は地に墜ちてしまった、ということだ。橋下市長が大阪都構想の提案理由に掲げていた「大阪府大阪市による二重行政のムダの排除」と高齢者だけに配布される目先の「バス無料パスの廃止」とどちらが重要か、その程度のことも判断できない高齢者が大阪市には選挙結果を左右するほど多い、ということになるのだろう。それに橋下市長は、この法案が通ったあとでも、バスの無料パスを廃止すると言明したわけではなかろう。
 大阪で反対票を投じた高齢者諸公は、日頃新聞記事で見慣れている、官僚による経費のムダ使いや、収賄事件、手抜き作業による市民への失政など、もともと税金のカネにまつわる公務員の事件は決して少なくない、ということをご承知ないらしい。この地方公務員の数を減らし、経費つまり私たちが払った税金の使い道を一本化することに反対するなんて、想像を絶して事態を理解していない、ということだ。これが通れば日本でのいい前例になっただけに、惜しいことをした。逆にこの事件で、いかに最近の日本人の民度が落ちたかも目に見えた。