tokyokidの書評・論評・日記

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日記141108・ボンタン飴

tokyokid2014-11-08

 人間齢を取ると昔のものに惹かれる。骨董や植木に時間やカネを注ぎ込むようになると「あの人も齢を取った」といわれる場面は、小説などによく描かれる風景だ。
 住んでいるところの最寄り駅のホーム売店で、子供のころから見慣れていて、しかも関東では最近とんとお目にかからなくなった菓子を見つけた。「ボンタン飴」といい、漢字では「文旦飴」と書く。心惹かれてさっそく買い込んだ。箱の能書によると「ボンタン」とは「南国の最も大きくて香ばしいみかん」だという。オブラートに包まれたキャラメルと同じサイズのボンタン飴をほおばると、なんともやさしくて香りのする甘い柑橘類の味が口中にひろがる。独特の甘さが強過ぎず弱過ぎず、まったく舌を刺激しない。箱にはもうひとつ「おかげさまで88周年」と書いてあった。ならば大正15年か昭和元年か、いずれにしても小生より「だいぶ」年長者ではないか。
 最初にこの飴を口に入れたときのことは覚えていない。だが先年鹿児島を旅したときには、あちこちの駅の売店や土産物店で、これの何箱も入った大きな土産用の包みを売っていて、懐かしい思いをしてそのとき買ってきた。関東で見るのは久しぶりで、しかも我が家の近くの駅のホーム売店でのことあった。こんどはしっかりと頭に地図を叩き込んだ。
 いいものを永く売ることはいいことだ。戦後アメリカのマネをしてなんでもかんでも「新しいもの」を持て囃す傾向には、とことんヘキエキしている。正直にいえば疲れてしまうのだ。最近の「創作料理」などはその最たるものだ。人間は縄文の時代から(或いはその以前から)料理をしているんだ。いまさら新規の料理をしてみたところで、それは古人の失敗作をなぞるだけのことだ。要は最近の若い人の好みである「メチャ甘」「もちもち」「しっとり」「ひとくち大」「なんでも新作・創作」などの傾向に食傷したのだろう。なにごとによらず、昭和の昔が懐かしい。昔の「革新」もいまとなっては「保守」に転向した。オレも年老いた。