tokyokidの書評・論評・日記

tokyokid の書評・論評・日記などの記事を、主題に対する主観を明らかにしつつ、奥行きに富んだ内容のブログにしたい。

論評・羅府新報「磁針」コラム・朝青龍の引退問題

tokyokid2011-01-25

題名・朝青龍の引退問題
*   *   *   *   *
 泥酔、暴行、怠業、それに以前から問題視されていたガッツポーズなどでマイナスの話題を多々振り撒いた大相撲の横綱朝青龍が突然の引退を表明した。素人目にもまだまだやれる体力を残していた横綱の引退劇は、一般ファンにとっては意外な展開であったかも知れない。でも日本相撲協会のみならず、監督官庁までも巻き込んでこれだけの大騒動があったわけだから、これは起るべくして起った問題であった。
 朝青龍は勝負の成績だけからみれば偉大な横綱であったかも知れない。でも平生の素行に問題があり過ぎた。横綱審議会の委員のなかにも厳しい見方をしていた人がいた。稽古で格下の相手に再三負傷を負わせたり、土俵の勝負で負けて倒れた相手に追い討ちをかけたり、休場中にモンゴルに帰ったり、勝ったときでも両手を挙げてガッツポーズをする写真は何回も新聞紙面を賑わしている。大相撲の横綱には、かつての大横綱双葉山を引き合いに出すまでもなく、その心・技・体が抜きん出て優秀である資質が求められる。朝青龍には明らかに「心」の点で問題があった。
 ファンのなかには相撲もスポーツと割り切る人もいて、相手に勝ってガッツポーズをして何が悪いか、という議論もたびたび新聞の投書欄にも掲載された。でも相撲はスポーツであると同時に、日本古来の神事でもある。だからこそ、日下開山を務める横綱は相撲の実力も一番でなければならないが、人格においても諸人に抜きん出ていなければならない。つまり神さまに、穢れた人間から神事を奉納することは有り得ないのである。ついでながら、日本のマスコミでこの点を突いた報道は、筆者の見る限り見当たらなかった。それにしても、ここに至る高砂親方(元大関朝潮)と日本相撲協会朝青龍に対する監督不行き届きは明白だ。
朝青龍の突然の引退声明によって幕は下りた。多分朝青龍はいわゆる「詰め腹を切らされた」のだろう。でも除名という重い処分よりは、朝青龍としても相撲界に名誉を残せる余地を残した処分であったから、遅かりしとはいえ、妥当な問題解決方法であった。□
*   *   *   *   *