tokyokidの書評・論評・日記

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論評・羅府新報「磁針」コラム・「知恵が無いナァ」091217掲載原稿

tokyokid2010-01-02

題名・「智慧が無いナァ」
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政権交代」が実現して民主党の天下となった。戦後半世紀以上にわたってほとんどの期間続いた自民党の政治と大きく変ったことのひとつに「事業仕分け」がある。自民党時代は政治家が官僚の言いなり、天下り役人のためだけとしか思えないポストや、膨れ上がる一方の予算、そしてなにより国民に公開されなかった予算案策定の過程などが、こんどの民主党政権になってから一変した。これは歓迎すべきことだ。
 11月28日付きの朝日新聞国際版は一面トップで「仕分け効果一・六兆円」と報じた。民主党には「行政刷新会議」というのがあって、事業仕分けをして必要性が乏しい事業を洗い出した結果だという。だがこの金額は当初民主党が目標とした三兆円には届かなかったし、外野からみれば、その直前策定された「過去最大」の来年度予算概算要求額である95兆円からみても、これは少な過ぎる金額だと考える国民が少なくあるまい。
 国と自治体の借金が国家の年間予算の10倍以上ある日本としては、ここは経費予算を削って借金の返却に回すのが当り前の施策であろう。財源には前述の事業仕分けによるもののほか、予算を一律5%削減することにすれば、当初の民主党の目標であった3兆円は軽く超えられる。その際5%のうち4%分くらいは、間接費から削減することを義務付けなければならない。でないと狡猾な官僚は、元来国民に給付すべき直接費から削減して、自分たちの予算執行費用たる間接費には手を付けない可能性があるからだ。
 明治の文豪・幸田露伴には「番茶会談」という著作がある。いまの大学生くらいの青年たちが番茶だけの集りを催す。その会に招ばれた「中老人」なる知識人が「加藤清正公は素裸の分際から成り上がった人だが、諸君は同じ境遇に置かれたときどうするか」と問うて、青年らが「いい方法を思い当たりません」と頭を掻くと「智慧が無いナァ」といってその方策をいろいろと説く、という筋書きである。民主党ももっともっと智慧を出したらどうか。□
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