tokyokidの書評・論評・日記

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書評・都内交通案内地図

tokyokid2008-02-06

書評・都内交通案内地図・財団法人東京タクシー近代化センター

【道路地図とは】
 道路地図は自動車を運転する人用の地図である。本評で取り上げる「都内交通案内地図」は、本来タクシー向けに発行されているものである。運転のプロのタクシー向けだけあって、都内の交通の案内地図としてまことに要領よくまとめてあり、分りやすく、使いやすい。自動車を運転する人を念頭に編集されているから、主な目印のほか、首都圏交通図、幹線道路名、高速道路網、インターチェンジ図、一般道路の一方通行、商店街、橋や河川、鉄道駅、地下鉄駅、ターミナル図なども洩れなく、分りやすく表示されていて、歩行者にも使いやすい。もちろん町名や諸施設の一覧表もついているから、各名称から索引を引くように使うこともできる。
【あるべきよう】
 いまはGPSによって現在位置を確認するシステムを使って、自動車を運転しながらでも、運転席にある画面を見ながら、現在地から目的地に行く最適の道路を見つけられるようになった。でもこの方法は、2点間の行き方のガイドをしてくれるだけである。その点「本の地図」の場合は一覧性があるから、都内の道路状況をおおづかみに把握するには、このような地図帖が便利である。それにたとえば官庁、病院、大使館、寺院、ホテルから公衆便所の在りかまではっきりと記載してあるから、自動車の運転者にとっても歩行者にとっても、本書はまことに使いやすい道路地図帖なのである。これに類する地図にたとえば東京23区などの区分地図があるが、使い勝手のよさからいって、評者の判断では本書に軍配を挙げる。ただし「本」では困るので大判一枚の紙の全図がいい、という使い方もあるから、なんでもこの地図一冊で済ませるわけにもいかないのも確かなことだ。
【使ってみれば】 
 この道路地図の目次によれば、タクシー用であるからまず「事業区域の確認」がしてある。あとは東京23区や周辺市部の「区分地図」があるのは当然として、それとは別に拡大図を使っての「交通規制図」がある。これによって細い一般道路も、その一方通行方向も、自動車を運転するために必要な交通規制の詳細に知ることができる。さらに普通の区分地図にない「ターミナル詳細図」「近県道路図」「業務上の参考図として羽田空港や成田空港、東京シティエアターミナルなど」のほかに「道路・町名・橋と川・駅」「都内の主要機関と施設」の一覧表もついており、都内の交通だけでなく、諸施設の位置関係を知るには、この一冊があればたいていのことは済んでしまう使い勝手のよさ、便利さがここにある。
【それはさておき】
 本評の底本にしたのは、1989年版の当時の新版である。編集人は東京タクシー近代化センター専務理事であるが、地図作成は地図出版大手の(株)昭文社が担当している。ますますマンモス化する東京、ますます変貌の速度を高める東京の道路地図として、この地図帖はまことに使いやすい。蛇足を付け加えれば、現在東京に住んでいない者が、東京の道路状況を確認するのにこれほど使いでのある地図は、他に見つけるのがなかなか困難であろう。□